がん患者へのサポート・グループの運営と課題(パネルディスカッションVII/がん医療における心理面への援助)
目的 乳がん患者に対する心理社会的支援の一方法としてサポート‐グループ(以下, SG)の有効性が報告されている. しかし, がんの部位や病期が混在した場合のSGの効果についてはいまだ不明瞭な部分が多い. 今回われわれは, 地域で生活するがん患者が疾患部位に限らず誰でも参加できるSGを目指し, 疾患混在型のSGプログラムの運営を試みた. 方法 平成11年9月~平成12年10月までに, 3回のSGプログラムを運営し患者92名, 家族34名の参加を得た. プログラムは週1回, 4~5週を1クールとし, がんに関する簡単なレクチャー(教育的介入), グループでの話し合い(情緒的介入), 自立訓練法の実...
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Veröffentlicht in: | 心身医学 2003/01/01, Vol.43(1), pp.68 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的 乳がん患者に対する心理社会的支援の一方法としてサポート‐グループ(以下, SG)の有効性が報告されている. しかし, がんの部位や病期が混在した場合のSGの効果についてはいまだ不明瞭な部分が多い. 今回われわれは, 地域で生活するがん患者が疾患部位に限らず誰でも参加できるSGを目指し, 疾患混在型のSGプログラムの運営を試みた. 方法 平成11年9月~平成12年10月までに, 3回のSGプログラムを運営し患者92名, 家族34名の参加を得た. プログラムは週1回, 4~5週を1クールとし, がんに関する簡単なレクチャー(教育的介入), グループでの話し合い(情緒的介入), 自立訓練法の実施(リラクセーション)の3部で, 2時間半のプログラムを組んだ. また, 5週連続の短期プログラムを終えた後, 月1回ないし2ヵ月に1回の継続会を平成13年11月まで13回続行した. SGの評価は, 抑うつ尺度(CES-D), がんへの心理的適応度尺度(MAC)に加え, 満足度などについて独自に作成した質問紙を用いた. 今回は, 5週の短期プログラムに参加し, かつ質問紙への協力が得られた45名を分析対象とした. 結果 参加者全体のMAC平均値は, 参加前111. 46±11. 8であったのに対し参加後117. 64±11. 46と有意な改善がみられた(t値-3. 555, p<0. 01). グループごとの変化をみると男女混合でかつ疾患も混合型の8人のグループでは, CES-Dが参加前14. 75±5. 12から参加後10. 8±8. 85と減少傾向がみられ(z=-1. 841, p<0. 1), またMACの下位尺度hopelessnessも22. 37±3. 24から20. 8±3. 03と減少傾向がみられた(z=-1. 857, p<0. 10). 女性の消化器がんグループ(7名)では, MACの下位尺度hopelessnessが有意に減少し(z=-2. 032, p<0. 05), positiveも有意に改善していた(z=-2. 264, p<0. 05). 同様に女性で疾患混合型のグループ(9名)もMAC総得点が有意に改善(z=-2. 313, p<0. 05), 下位尺度のhopelessnessも有意に改善した(z=-2. 384, p<0. 05). しかし, 男性のみで疾患混合型のグループでは特に変化は認められなかった. 以上のことから, 男女あるいは疾患混合型のグループの場合でもがんへの適応, 特に絶望感の改善という点で効果が認められた. また, 短期プログラムに続く継続型参加者の変化をみたところ, 継続会に5回以上参加し続けた対象者は, 参加していないものに比較しMACの下位尺度anxiousが有意に減少しており(z=-2. 041, p<0. 05), 長期のサポート‐グループは, がんがもたらす不安感の改善に効果があることが示唆された. 考察 がんに関する不安や悩みは, がんの部位や症状, あるいは治療法などに由来するというよりも, 死への不安やがんを抱えてどう生きるかといった実存的な問題を抱えている場合が多い. その意味でサポート‐グループでの語りは疾患や性を超える内容が多く, それを参加者同士が共有していたのだと思われる. このような実存的な問題をさらにグループで深め不安を軽減するためには, 長期型のサポート‐グループが有効であることが示唆された. |
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ISSN: | 0385-0307 2189-5996 |
DOI: | 10.15064/jjpm.43.1_68 |