15.摂食障害女性への内観療法 : 心理的変化を中心として(第25回 日本心身医学会中国・四国地方会 演題抄録)
摂食障害患者に集中内観療法を施行した. 症例は24歳, 女性. 主訴は「過食, 嘔吐, 自分を変えたい」. 診断は摂食障害(ICD-10F50.1)であった. 家族, 生活歴として, 父の飲酒問題のため患者が高校2年のときに離婚. 家族は母と兄2人, 弟1人. 専門学校卒業後, 現在専門職に就いている. 現病歴としては, 高校1年ごろより無理なダイエットと過食(45~64kg, 現在52kg)あり. 就職しても過食, 嘔吐が繰り返され, 男友達との問題から自己コントロールが困難となり, 心療内科受診. しかし, 不安定の出没が続き本で知った内観療法で自分を変えたいと相談, 当院を紹介された....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 心身医学 2002/09/01, Vol.42(9), pp.625 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 摂食障害患者に集中内観療法を施行した. 症例は24歳, 女性. 主訴は「過食, 嘔吐, 自分を変えたい」. 診断は摂食障害(ICD-10F50.1)であった. 家族, 生活歴として, 父の飲酒問題のため患者が高校2年のときに離婚. 家族は母と兄2人, 弟1人. 専門学校卒業後, 現在専門職に就いている. 現病歴としては, 高校1年ごろより無理なダイエットと過食(45~64kg, 現在52kg)あり. 就職しても過食, 嘔吐が繰り返され, 男友達との問題から自己コントロールが困難となり, 心療内科受診. しかし, 不安定の出没が続き本で知った内観療法で自分を変えたいと相談, 当院を紹介された. 入院後の経過は, 集中内観療法の導入として内観関係冊子, テープにて紹介. 入院期間2週間. 内観は吉本原法に準じ, 3点(して貰ったこと, して返したこと, 迷惑をかけたこと)のテーマに沿って, 母→祖母→祖父→父→嘘と盗み→母について調べてもらった. 当初, 「こんな感じでいいんですか」と不安な様子であったが, 3日目には涙しながら祖母について語り, 父についての6~7日目には面接後, 泣き声が聞かれた. 全体として深い内観とはいえないが, 家族への姿勢の転換がうかがわれた. 集中内観4日後に退院. 以後, 復職して経過順調, 月1回の支持的面接を続けている. 本例は集中内観療法により, 家族関係の問題の整理(別れた父へのアンビバレントな感情の表出など)がなされ, カタルシス効果とともに, 人間関係の整理から自分を素直に認める契機づくりがなされたものと思われる. 心理テストの変化では, 内観直後は大きな変化がなかったものの, 内観2ヵ月後にはかなりの変化(不安の軽減など)があり, 退院後の現実の生活の中で対人関係の修復がなされたものと思われた. 過食嘔吐の症状もコントロールされており, 内観療法は有用であった. |
---|---|
ISSN: | 0385-0307 2189-5996 |
DOI: | 10.15064/jjpm.42.9_625_1 |