臓器移植患者への心理的援助のあり方についての検討

臓器移植患者のストレスは, 死への不安, 将来の不確定性, 情報の混乱, 他人の臓器が埋め込まれることに対する特殊な体験, ドナーに対する複雑な感情などが挙げられる. また, 身体的状況により, 日常生活の質の問題も有し, 心身医学的援助が重要である. そこで, 移植治療における心理職の役割は, 医療者と患者との理解のタイミングの違いを熟知し, 第三者の立場で, 説明を聞いてどうだったか, どのような感情かなどをよく聴き, 患者や家族の十分な葛藤の表出がなされるように配慮することが重要である. さらに, 死への不安の受容とともにさまざまな矛盾や葛藤を抱えつつも希望をもって生きていく姿勢を根底か...

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Hauptverfasser: 上原優子, 川村智行, 岡野善行, 地崎和子, 山口日名子, 上本未夏, 生野照子, 山野恒一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:臓器移植患者のストレスは, 死への不安, 将来の不確定性, 情報の混乱, 他人の臓器が埋め込まれることに対する特殊な体験, ドナーに対する複雑な感情などが挙げられる. また, 身体的状況により, 日常生活の質の問題も有し, 心身医学的援助が重要である. そこで, 移植治療における心理職の役割は, 医療者と患者との理解のタイミングの違いを熟知し, 第三者の立場で, 説明を聞いてどうだったか, どのような感情かなどをよく聴き, 患者や家族の十分な葛藤の表出がなされるように配慮することが重要である. さらに, 死への不安の受容とともにさまざまな矛盾や葛藤を抱えつつも希望をもって生きていく姿勢を根底から支えていかねばならない. そのためには, 移植治療への万能感を抱かず, 家族を含め, 生活のあり方や質の向上への配慮が重要である. 1つの家族に対するトータルな視点をもつことが特に求められると思われた.
ISSN:0385-0307