大学病院における心療内科医による悪性疾患患者のサポートのためのコンサルテーション・リエゾン活動(がんの臨床心身医学 : 臨床サイコオンコロジー)

近年, サイコオンコロジーは心身医学の重要な分野として注目されてきている. そこで, 当科が大学病院において, 無菌病棟および放射線科病棟において行っている悪性疾患患者へのコンサルテーション, リエゾン活動を紹介することにより, 大学病院における心療内科医の臨床サイコオンコロジー実践の一つのモデルを提示する. なお, 本稿で用いるコンサルテーションとは, 要望があったときのみの一時的な関係を意味し, リエゾンとは, 定期的にカンファレンスを開くなど, 継続的な関わりをもつことを意味するものとする1). 当科は, 平成8年6月より骨髄移植を受ける血液悪性疾患患者全員へのコンサルテーション活動を開...

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Veröffentlicht in:心身医学 2001/02/01, Vol.41(2), pp.107
Hauptverfasser: 吉内, 一浩, 山中, 学, 中原, 理佳, 佐々木, 直, 野村, 忍, 久保木, 富房
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, サイコオンコロジーは心身医学の重要な分野として注目されてきている. そこで, 当科が大学病院において, 無菌病棟および放射線科病棟において行っている悪性疾患患者へのコンサルテーション, リエゾン活動を紹介することにより, 大学病院における心療内科医の臨床サイコオンコロジー実践の一つのモデルを提示する. なお, 本稿で用いるコンサルテーションとは, 要望があったときのみの一時的な関係を意味し, リエゾンとは, 定期的にカンファレンスを開くなど, 継続的な関わりをもつことを意味するものとする1). 当科は, 平成8年6月より骨髄移植を受ける血液悪性疾患患者全員へのコンサルテーション活動を開始し, 平成9年1月からは, 無菌病棟において, 無菌病棟主治医, 無菌病棟看護スタッフおよび心療内科医によるカンファレンスを週1回開始し, リエゾン活動へと発展した. 現在まで, 延べ126名の無菌病棟入室患者のサポートを行っている. また, 平成11年6月より, 放射線科病棟入院患者全員に対して, サポートを行っており, 無菌病棟と同様の形態のリエゾン活動として, 延べ90名の患者のサポートを行ってきた. がん患者のサポートに関しては, 病名告知, 治療方針決定, 治療開始後, 治療終了後社会復帰まで, 再発, 終末期などの問題が焦点となる2). また, 骨髄移植患者に関しては, 無菌病棟への隔離という特殊な環境に伴う問題への対処も重要な課題である3). また, がん患者のサポートでは, 家族へのサポートも重要な領域であると考えられ4), さらに, 病棟スタッフへのサポートも重要である. 特に, リエゾン活動における週1回のカンファレンスでは, 情報の共有, 対応の統一化などにより, 操作性の強い患者による病棟の混乱の予防, 医療スタッフ側の過度の逆転移によるバーンアウトの予防を主な目的としており5), これまでのところ, コンサルテーションの形態では不可能な問題にも十分対処できている. 以上より, がん患者のサポートに際しては, 単なるコンサルテーションではなく, リエゾンの形態が望ましいと考えられる. 文献 1)吉内一浩, 他:コンサルテーション, リエゾン医療の進め方-大学病院における実践内容-. 日本心療内科学会誌 3:45-48, 1999 2)内富庸介:がん患者への精神療法的介入. 精神療法 23:444, 1997 3)吉内一浩, 他:骨髄移植におけるコンサルテーション, リエゾン. 心療内科 1:285, 1997 4)保坂隆:がん患者の家族への精神療法的介入. 精神療法 23:452, 1997 5)Rappaport BS:Evolution of consultation-liaison services in bone marrow transplantation. Gen Hosp Psychiatry 10:346, 1988
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.41.2_107