本当に困っていることは何か-食べることを扱わないで軽快した摂食障害の1症例

摂食障害患者の強い強迫性の存在は, 摂食障害を強迫神経症の一亜系と考える視点も提出されるほど重要な問題である. 摂食障害の治療に際して, 患者の強迫観念, 行為をどのように扱うかは常に議論されているところである. 今回は内科にて神経性大食症と診断された19歳の女子短大生の症例を紹介した. 患者は, 神経性無食欲症のエピソードを経て過食に転じ, 食に関する強迫観念, 行為が強くなり通常の日常生活ができなくなったため受診. 患者の「摂食障害を治療しよう」とする努力により症状を強化, 維持しているパターンを見出し, そのパターンに変化を引き起こすために, 治療者は問題の再定義を行ったうえで強迫観念,...

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Hauptverfasser: 阪幸江, 吉川悟
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:摂食障害患者の強い強迫性の存在は, 摂食障害を強迫神経症の一亜系と考える視点も提出されるほど重要な問題である. 摂食障害の治療に際して, 患者の強迫観念, 行為をどのように扱うかは常に議論されているところである. 今回は内科にて神経性大食症と診断された19歳の女子短大生の症例を紹介した. 患者は, 神経性無食欲症のエピソードを経て過食に転じ, 食に関する強迫観念, 行為が強くなり通常の日常生活ができなくなったため受診. 患者の「摂食障害を治療しよう」とする努力により症状を強化, 維持しているパターンを見出し, そのパターンに変化を引き起こすために, 治療者は問題の再定義を行ったうえで強迫観念, 行為に対して逆説的な指示を行った. その後も強迫観念, 行為の必要である枠組みを呈示したうえで逆説的な指示を続けたところ, 早期に状態の改善がみられた.
ISSN:0385-0307