小児アトピー性皮膚炎が家族に与える影響-アトピー性皮膚炎の家族への影響に関する質問紙

目的:小児のアトピー性皮膚炎(AD)が患児自身のQOLを低下させることはすでに報告されているが, 家族にもたらす影響についてはほとんどわかっていない. 本研究の目的は, 家族の生活に対する小児ADの影響を記録し, 簡便な質問紙の指標を作成することである. 対象と方法:対象はAD診断基準を満たす患児のいる34家族. 患児の平均年齢は3歳2ヵ月であった. 患者の症状を現在と長期について評価した. 家族は個別に記述人類学的面接を受けた. 面接では患児のADが家族の生活に与えた影響について家族に質問した. 面接から得られた膨大なデータは, 家庭, 学校, 娯楽などの項目に整理され, それらに関連した下...

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Veröffentlicht in:心身医学 2000, Vol.40 (1), p.32-32
1. Verfasser: 宮田たみ恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:小児のアトピー性皮膚炎(AD)が患児自身のQOLを低下させることはすでに報告されているが, 家族にもたらす影響についてはほとんどわかっていない. 本研究の目的は, 家族の生活に対する小児ADの影響を記録し, 簡便な質問紙の指標を作成することである. 対象と方法:対象はAD診断基準を満たす患児のいる34家族. 患児の平均年齢は3歳2ヵ月であった. 患者の症状を現在と長期について評価した. 家族は個別に記述人類学的面接を受けた. 面接では患児のADが家族の生活に与えた影響について家族に質問した. 面接から得られた膨大なデータは, 家庭, 学校, 娯楽などの項目に整理され, それらに関連した下位分類が作られた. さらに特定領域の属性のリストが作られ, 102項目の質問紙作成に用いられた. 質問紙の一部には多属性効用理論(multi-attribute utility theory;MAUT)を応用し, 属性の重要性についての処理を行った. この詳細な質問紙は研究対象に該当する子どもをもつ14名の親により7週間にわたり検証され, 外来の52組の家族でも実施された. その結果, 短い10項目の質問からなるADの家族への影響に関する質問紙Dermatitis Family Impact(DFI)が作成された. DFIはAD患児をもつ50家族と健常な子どもをもつ対照群の50家族, 新患のAD患児をもつ23家族で実施された. 結果:質問紙から以下のような結果が得られた. 実際のケアの問題点, 親への心理的圧力, 家族のライフスタイル, 睡眠障害などの問題点を60~70%の家族が訴えていた. また学校での問題, 子どもの行動への影響, 社会的生活, 人間関係などの問題点を30~60%の家族が訴えていた. また医療上のサポートへの不満, 休日の制限, 経済面などの不満も明らかになった. DFI質問紙において最も高得点であった質問は治療, 睡眠, 疲労, ストレスなどであり, 最も低得点であった質問はレジャーと買い物の時間に関係したものであった. DFIの合計得点はAD患者家族群で9.6±7.0, 対照群の家族で0.4±0.9であった(p
ISSN:0385-0307