28.精神科病院におけるターミナルケアの試み(第20回 日本心身医学会中国・四国地方会 演題抄録)

近年, ホスピス運動への高まりがみられている. われわれは, 精神科単科病院において, がん末期患者の治療に関わることになり, ホスピスケア的アプローチを試みる機会を得た. 症例:73歳, 精神分裂病荒廃状態の女性 1957年頃発症, 1973年より長期入院中であった. 1996年1月吐血があり, R病院内科にて, 胃体部を中心としたBorrmann III型の進行がん, 手術適応と診断されたが, 家族が反対し, 絶食, IVHのまま当院へ再入院した. 2, 3ヵ月の余命と思われていたが, 積極的延命治療は行わず, 外泊, 家族の付き添い, 看護の援助のもと, 同年10月死亡した. 今回のケー...

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Veröffentlicht in:心身医学 1998/06/01, Vol.38(5), pp.378-379
Hauptverfasser: 堀井, 茂男, 壺内, 昌子, 阿部, 慶一, 岡, 沢郎, 今田, 和人, 大月, 三郎, 藤田, 英彦, 青木, 省三, 黒田, 重利
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, ホスピス運動への高まりがみられている. われわれは, 精神科単科病院において, がん末期患者の治療に関わることになり, ホスピスケア的アプローチを試みる機会を得た. 症例:73歳, 精神分裂病荒廃状態の女性 1957年頃発症, 1973年より長期入院中であった. 1996年1月吐血があり, R病院内科にて, 胃体部を中心としたBorrmann III型の進行がん, 手術適応と診断されたが, 家族が反対し, 絶食, IVHのまま当院へ再入院した. 2, 3ヵ月の余命と思われていたが, 積極的延命治療は行わず, 外泊, 家族の付き添い, 看護の援助のもと, 同年10月死亡した. 今回のケースを体験して, 精神科患者のターミナルケアは, 一般的諸問題に加え, 精神症状への対応配慮, 家族に対し治療者が協力依頼とサポートをし続けることが大切なことがわかった. また, 治療者側のパターナリズムは無意識的なものがあり, ホスピスケアの基本点に立つのに大変な努力を要することが痛感された.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.38.5_378_4