自殺念慮をもつ神経性嘔吐の心理療法

本心療内科においては医師と臨床心理士が診断初期の段階から身体的, 心理的両面でのアプローチを行い, 治療経過を密に連絡しながら治療にあたる方針をもっている. 心理的アプローチにおいては, クライエントが表してくる身体症状の中に, 心理的意味や心の課題が反映されていると考える. こうした基本的考え方に基づいて, 今回, 家族の「世話役」という仮の自己への拒否感から神経性嘔吐を生じ, リストカットを繰り返した28歳女性に対して, 母親との葛藤の自覚と攻撃性の表出を促す心理療法を行い, 自我意識の発達が認められた. 力動的観点から考察を行い, 身体化障害の背景にある心的課題の達成に心理的援助が有効で...

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Hauptverfasser: 松島恭子, 黒川順夫, 田中貴子, 琴浦志津, 松下幸治, 松下友吏子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本心療内科においては医師と臨床心理士が診断初期の段階から身体的, 心理的両面でのアプローチを行い, 治療経過を密に連絡しながら治療にあたる方針をもっている. 心理的アプローチにおいては, クライエントが表してくる身体症状の中に, 心理的意味や心の課題が反映されていると考える. こうした基本的考え方に基づいて, 今回, 家族の「世話役」という仮の自己への拒否感から神経性嘔吐を生じ, リストカットを繰り返した28歳女性に対して, 母親との葛藤の自覚と攻撃性の表出を促す心理療法を行い, 自我意識の発達が認められた. 力動的観点から考察を行い, 身体化障害の背景にある心的課題の達成に心理的援助が有効であることを述べた.
ISSN:0385-0307