膵頭十二指腸切除後のTreitz靭帯部に内ヘルニアを起こした1例

症例は57歳の男性。腹痛,嘔吐を主訴に腸閉塞で紹介となった。CTで骨盤部の小腸に拡張を認め,癒着性腸閉塞の診断で入院となった。既往に胆管癌があり,受診の4か月前に膵頭十二指腸切除を受けていた。  入院後は絶食で経過観察した。第3病日に腹痛の増悪を認め,CTを再検したところ,上腸間膜動脈の背側で小腸間膜が絞扼された所見を認め,右上腹部に脱出した小腸はclosed loopを形成していた。内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。手術所見としては,旧Treitz靭帯部に形成された結腸間膜と腹膜の間隙がヘルニア門となり,約2m程度の小腸が右上腹部に向かって脱出していた。腸管を整復し,ヘ...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2022, Vol.71(1), pp.46-50
Hauptverfasser: 前田, 孝, 小林, 聡, 高木, 健裕, 駒屋, 憲一, 加藤, 真司, 坂野, 福奈, 堀, 明洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は57歳の男性。腹痛,嘔吐を主訴に腸閉塞で紹介となった。CTで骨盤部の小腸に拡張を認め,癒着性腸閉塞の診断で入院となった。既往に胆管癌があり,受診の4か月前に膵頭十二指腸切除を受けていた。  入院後は絶食で経過観察した。第3病日に腹痛の増悪を認め,CTを再検したところ,上腸間膜動脈の背側で小腸間膜が絞扼された所見を認め,右上腹部に脱出した小腸はclosed loopを形成していた。内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。手術所見としては,旧Treitz靭帯部に形成された結腸間膜と腹膜の間隙がヘルニア門となり,約2m程度の小腸が右上腹部に向かって脱出していた。腸管を整復し,ヘルニア門を縫合閉鎖した。術後経過は良好であった。  膵頭十二指腸切除後の内ヘルニアに関する報告例は稀である。一方で,本術式は複雑な再建経路が影響し,様々な内ヘルニアを起こし得ると考えられる。他の報告例を踏まえ,文献的な考察を加えて報告する。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.71.46