肝膿瘍を合併したS状結腸癌の1例

症例は70歳,男性,約1か月持続する下痢を主訴に近医を受診し,整腸剤,抗生剤治療を受けたが全身の浮腫も続発し当院に紹介された。腹部超音波検査と造影CTから大腸癌,肝転移の疑いで入院加療した。下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の病変を認め,生検組織で腺癌と診断された。肝転移あるいは肝膿瘍を伴ったS状結腸癌と診断し,S状結腸切除と肝病変一括切除を考慮したが,同時切除は負担が大きいと判断し,S状結腸切除を先行する方針とした。しかし,間歇的な発熱は増悪し,再度施行したCTから肝病変は肝膿瘍を強く疑う所見と診断し,経皮的肝膿瘍穿刺ドレナージ(PTAD)を行なった。3日後S状結腸切除を行なった。術後,...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2020, Vol.68(5), pp.648
Hauptverfasser: 洞口, 正志, 林, 健次郎, 布施川, 一樹, 石井, 大介, 茂木, はるか, 滝戸, 成人, 小笠原, 弘之, 川原田, 康, 久保田, 洋介, 榎本, 好恭, 平山, 克, 洞口, 愛, 齊藤, 研
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:症例は70歳,男性,約1か月持続する下痢を主訴に近医を受診し,整腸剤,抗生剤治療を受けたが全身の浮腫も続発し当院に紹介された。腹部超音波検査と造影CTから大腸癌,肝転移の疑いで入院加療した。下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の病変を認め,生検組織で腺癌と診断された。肝転移あるいは肝膿瘍を伴ったS状結腸癌と診断し,S状結腸切除と肝病変一括切除を考慮したが,同時切除は負担が大きいと判断し,S状結腸切除を先行する方針とした。しかし,間歇的な発熱は増悪し,再度施行したCTから肝病変は肝膿瘍を強く疑う所見と診断し,経皮的肝膿瘍穿刺ドレナージ(PTAD)を行なった。3日後S状結腸切除を行なった。術後,肝膿瘍は徐々に縮小した。術後5年間無再発,無再燃であった。肝膿瘍を合併したS状結腸癌の1例を経験したので報告する。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.648