当院における転倒・転落患者の現状: 291件のインシデント・アクシデントレポートから

当院は秋田県大仙市にある急性期を中心とした病院であり,急性期病棟を6病棟,地域包括ケア病棟を2病棟,緩和ケア病棟を1病棟有している。急性期病院において転倒・転落インシデントは常に上位に位置づけられるが,転倒による外傷は患者・家族のADL(Activities of Daily Living)・QOL(Quality of Life)低下のみならず,入院期間の延長等に繋がることが想定されるため,その対策は双方に有益なことである。先行研究では転倒・転落予防チームの活動により転倒率の軽減に寄与したとの報告があるが,急性期病院における研究報告は少ないのが現状である。これらから,本研究では平成29年度に...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2019, Vol.68(4), pp.510-516
Hauptverfasser: 佐藤, 瑞騎, 髙, 朋子, 坂田, 徳隆, 高橋, 真理子, 魚住, 弘明, 大前, 智也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:当院は秋田県大仙市にある急性期を中心とした病院であり,急性期病棟を6病棟,地域包括ケア病棟を2病棟,緩和ケア病棟を1病棟有している。急性期病院において転倒・転落インシデントは常に上位に位置づけられるが,転倒による外傷は患者・家族のADL(Activities of Daily Living)・QOL(Quality of Life)低下のみならず,入院期間の延長等に繋がることが想定されるため,その対策は双方に有益なことである。先行研究では転倒・転落予防チームの活動により転倒率の軽減に寄与したとの報告があるが,急性期病院における研究報告は少ないのが現状である。これらから,本研究では平成29年度に当院で転倒・転落した入院患者の特徴と現状を,カルテとインシデント・アクシデントレポートからまとめた。 当院では1年間で230名291件の転倒・転落が発生し,全インシデント・アクシデントの32.9%を占めた。また転倒率は2.14件/1,000人/日であり,平均年齢は77歳,70歳以上が78.4%で男性に多い傾向があった。さらに転倒・転落は入院から中央値13日で発生しており,入院から10日以内に124件(42.6%),10~20日に60件(20.6%)と入院から早期に発生していた。これは地域包括ケア病棟に転棟した後の患者においても同様の傾向を示し,転棟後も改めて継続した注意が必要と考えられた。また転倒・転落は深夜帯(0時から8時)に119件(40.9%)が発生しており,場所としてはベッドサイドが170件(58.4%)と多く,行動目的としては排泄関連が158件(54.3%)と最も多かった。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.510