長期静注抗菌薬使用患者に対する介入効果の検討

近年,抗微生物薬の不適正な使用による薬剤耐性(AMR)の問題が提起され,AMR対策アクションプランが策定された。当院においては,2017年10月より静注抗菌薬を連日15日間以上使用している患者を対象に処方医に適正使用を促す介入を行なっている。本研究は静注抗菌薬の使用実態を調査するとともに介入効果の検討を行なった。2017年6月から2018年1月に静注抗菌薬の使用を開始した入院患者1,971例(延べ2,627例)を対象とし,2017年6月から9月を介入前群,2017年10月から2018年1月を介入後群とした。長期静注抗菌薬使用患者数,総治療日数,抗菌薬使用密度(AUD),抗菌薬使用日数(DOT)...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2019, Vol.68(4), pp.496-504
Hauptverfasser: 加藤, 梢, 蓮井, 章平, 川口, 翔平, 安土, 菜美, 今井, 隆人, 小林, 龍
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年,抗微生物薬の不適正な使用による薬剤耐性(AMR)の問題が提起され,AMR対策アクションプランが策定された。当院においては,2017年10月より静注抗菌薬を連日15日間以上使用している患者を対象に処方医に適正使用を促す介入を行なっている。本研究は静注抗菌薬の使用実態を調査するとともに介入効果の検討を行なった。2017年6月から2018年1月に静注抗菌薬の使用を開始した入院患者1,971例(延べ2,627例)を対象とし,2017年6月から9月を介入前群,2017年10月から2018年1月を介入後群とした。長期静注抗菌薬使用患者数,総治療日数,抗菌薬使用密度(AUD),抗菌薬使用日数(DOT),系統別使用割合を比較した。長期静注抗菌薬使用患者数は介入前群で40例,介入後群では31例と減少した。総治療日数は介入前群が5.1±5.5日,介入後群は4.8±4.9日と有意差は認められなかった。AUD,DOTにおいては,ペニシリン系のAUDが増加しアミノグリコシド系は減少した。また,第3世代セフェム系およびリンコマイシン系のDOTが減少した。系統別使用割合においてはペニシリン系が増加し,第3世代セフェム系,カルバペネム系およびリンコマイシン系が減少した。長期静注抗菌薬使用患者数が減少したことや,広域抗菌薬である第3世代セフェム系,カルバペネム系の使用割合が減少し,狭域抗菌薬であるペニシリン系の全体使用量が増加したことから,介入が適正使用の推進に繋がったと考えられる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.496