在宅から入院した廃用症候群患者の施設入所リスクを高めるFIM下位項目の検討

本研究の目的は在宅から入院した廃用症候群患者について退院時機能的自立度評価表(以下FIM)が入院前より低下すること(以下FIM低下)が退院先に与える影響をFIM下位項目ごとに明らかにすることである。在宅から入院し廃用症候群でリハビリテーションが処方された患者を対象とし,カルテより後方視的に年齢,性別,入院前・退院時FIM点数(総合点数/下位項目点数),退院先(施設/在宅)を調査した。退院先別に施設群と在宅群の2群に分け入院前の状態が交絡因子とならないよう入院前の年齢,性別,入院前FIM総合点数でマッチングを行なった。なお,FIM総合点の許容範囲は±5点とした。FIM低下の有無と転帰場所の関連に...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2019, Vol.68(4), pp.443-449
Hauptverfasser: 百瀬, 彩乃, 牛山, 直子, 黒部, 恭史, 田村, 淳也, 百瀬, 公人
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は在宅から入院した廃用症候群患者について退院時機能的自立度評価表(以下FIM)が入院前より低下すること(以下FIM低下)が退院先に与える影響をFIM下位項目ごとに明らかにすることである。在宅から入院し廃用症候群でリハビリテーションが処方された患者を対象とし,カルテより後方視的に年齢,性別,入院前・退院時FIM点数(総合点数/下位項目点数),退院先(施設/在宅)を調査した。退院先別に施設群と在宅群の2群に分け入院前の状態が交絡因子とならないよう入院前の年齢,性別,入院前FIM総合点数でマッチングを行なった。なお,FIM総合点の許容範囲は±5点とした。FIM低下の有無と転帰場所の関連について下位項目毎クロス集計表を作成しオッズ比,95%信頼区間を求めた。結果,各群の解析対象者は施設群男性9名,女性27名,年齢88.9±7.9歳,入院前FIM総合点数77.1±29.8点,在宅群男性9名,女性27名,年齢89.1±7.6歳,入院前FIM総合点数78.5±30.3点であった。FIM低下の有無と退院先に有意な関連が見られた項目(オッズ比)は排便コントロール(4.5),排尿コントロール(3.9),社会交流(3.5),問題解決(3.5),歩行(2.5)であった。結果より上記5項目に低下が起こると施設入所リスクが高くなることが示唆された。しかし,今回の研究では家族介護力を見ていない。今後は家族介護力などの社会的要因を含めて退院先に影響する因子をさらに追求する研究が必要であると思われる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.68.443