帝王切開術でのヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロース癒着防止吸収性バリアの使用経験
術後の癒着は腸閉塞や妊娠可能年齢婦人では不妊症の原因となり得るため, 癒着の防止は極めて重要である。そこで今回, 帝王切開術 (以下, 帝切) で癒着防止材として使用されるヒアルロン酸ナトリウム/カルボキメチルセルロース癒着防止吸収性バリア (HA/CMC) の癒着防止効果と有害事象について後方視的に検討した。 2回以上の帝切を受けた妊婦で前回帝切時にHA/CMCを貼付した45例について腹壁創下と子宮への癒着の有無, 腸閉塞症状の発生について各々評価した。また, 前回帝切後から今回帝切時までの観察期間中に異物であるHA/CMCを腹腔内に留置したことによる感染等の有害事象発生の有無についても評価...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 2015, Vol.64(2), pp.125-130 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 術後の癒着は腸閉塞や妊娠可能年齢婦人では不妊症の原因となり得るため, 癒着の防止は極めて重要である。そこで今回, 帝王切開術 (以下, 帝切) で癒着防止材として使用されるヒアルロン酸ナトリウム/カルボキメチルセルロース癒着防止吸収性バリア (HA/CMC) の癒着防止効果と有害事象について後方視的に検討した。 2回以上の帝切を受けた妊婦で前回帝切時にHA/CMCを貼付した45例について腹壁創下と子宮への癒着の有無, 腸閉塞症状の発生について各々評価した。また, 前回帝切後から今回帝切時までの観察期間中に異物であるHA/CMCを腹腔内に留置したことによる感染等の有害事象発生の有無についても評価した。 腹壁切開創下との癒着は4.4% (2/45例) の頻度であった。2例とも創部上端と大網との軽度の癒着であった。子宮との癒着は2.2% (1/45例) の頻度であり, 骨盤腹膜が膀胱子宮窩腹膜縫合部左端に癒着していたが手術操作には大きな影響はなかった。観察期間中に腸閉塞との関連が推測される嘔気, 嘔吐, 腹痛等の症状は皆無であった。有害事象は発熱が6.7% (3/45例) でみられた。発熱の原因はそれぞれインフルエンザ, 乳腺炎, 静脈炎にともなう発熱でHA/CMC貼付との関連性はないと判定された。 HA/CMCを貼付した帝切症例での癒着頻度は低く, 腸閉塞症状も皆無であり, また有害事象もなかったことから, HA/CMCは反復手術がしばしば施行される帝切では有用な癒着防止材であると考えられた。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.64.125 |