特発性および外傷性脳脊髄液減少症における診断基準とブラッドパッチの効果について

低髄液圧性頭痛に類似して,むち打ち症で脳脊髄液が脊髄腔から漏出していること,ブラッドパッチが有効であることが我が国で報告された。その報告以降,患者の増加により診断について混乱が生じている。診断基準とブラッドパッチの効果について自験例にて検討した。14例のうち7例は外傷歴のない特発性,7例は交通事故後の外傷性 (むち打ち症) であった。診断は脳脊髄液減少症研究会ガイドライン2007と同様の基準で行なった。特発性でCT・RIにて漏出部位を特定できなかったのは7例中1例で,この例は他5例と共に起立性頭痛と典型的頭部MRI所見を示していたことから,全例で診断確定された。外傷性では起立性頭痛や典型的MR...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2010/01/30, Vol.58(5), pp.541-548
Hauptverfasser: 新保, 義勝, 富川, 勝, 高桑, 一彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:低髄液圧性頭痛に類似して,むち打ち症で脳脊髄液が脊髄腔から漏出していること,ブラッドパッチが有効であることが我が国で報告された。その報告以降,患者の増加により診断について混乱が生じている。診断基準とブラッドパッチの効果について自験例にて検討した。14例のうち7例は外傷歴のない特発性,7例は交通事故後の外傷性 (むち打ち症) であった。診断は脳脊髄液減少症研究会ガイドライン2007と同様の基準で行なった。特発性でCT・RIにて漏出部位を特定できなかったのは7例中1例で,この例は他5例と共に起立性頭痛と典型的頭部MRI所見を示していたことから,全例で診断確定された。外傷性では起立性頭痛や典型的MRI所見を示す症例はなかった。外傷性7例中漏出部位の不明は2例。うち1例はガイドライン基準のRIの早期膀胱集積と低いRI残存率を示し,ブラッドパッチにて改善を示した。以上からガイドライン2007は診断基準として妥当と思われた。ブラッドパッチの成果は特発性7例全例で改善。外傷性では複数回のブラッドパッチが行なわれ,以前の状態に戻れた良好な改善が3例,やや改善2例,不変1例,再診1例であった。改善例では,起きていられない,家事が出来ない,ドライブや仕事が続けられない,など倦怠や疲労に基づく訴えに対して効果があった。ブラッドパッチにより以前の生活を取り戻せることは大きな社会的効果である。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.58.541