農業体験が有する高齢者の身体機能の低下軽減効果の解明(第1報)~食生活習慣・検査データの比較から
農業体験が身体機能に与える影響を, 健康指標データとの関連により解明し, 農業体験が有する高齢者の身体機能の低下軽減効果について検討する. 農業体験と健康の結びつきを解明することにより, 都市と農村の対流促進モデルを提言する. 本研究の目的に添って, 農業との関わり方の差によって生活状況(食事や嗜好品), 血液検査データに差があるかどうか検討するため調査を行なった. 長野県厚生連健康管理センターのヘルススクリーニング受診者で, 1998年または1999年とそれぞれの4年後にも受診した初年度65~74歳の住民を対象者とした(合計:女性3049名, 男性2161名). 検討においては, 年代を65...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 農業体験が身体機能に与える影響を, 健康指標データとの関連により解明し, 農業体験が有する高齢者の身体機能の低下軽減効果について検討する. 農業体験と健康の結びつきを解明することにより, 都市と農村の対流促進モデルを提言する. 本研究の目的に添って, 農業との関わり方の差によって生活状況(食事や嗜好品), 血液検査データに差があるかどうか検討するため調査を行なった. 長野県厚生連健康管理センターのヘルススクリーニング受診者で, 1998年または1999年とそれぞれの4年後にも受診した初年度65~74歳の住民を対象者とした(合計:女性3049名, 男性2161名). 検討においては, 年代を65~69歳, 70~74歳の2つに分け, さらに農業との関わり方の差により, 対象者を農業非従事者と農業に103時間以上従事している人, さらに農業非従事者で花・野菜作りを趣味とする人の3つのグループに分類した. このように分類した6つのグループで, 生活状況では喫煙, 飲酒, 食材摂取状況, 検査データでは, 高血圧, 糖尿病, 高尿酸血症, 高脂血治療, 血中脂質の比較検討を行なった(開始年度と4年後). (1)農業をしない人と農業に103時間以上従事している人の健康指標の比較においては(開始年度と4年後), 農業をする人の群は農業をしない群と比較し, 全般に良好な食生活習慣, 動脈硬化危険因子(高血圧, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症)が少ない傾向が認められた. 食材摂取においては, 65~69歳において男女とも群間に有意差が認められ, 農業をしない群において摂取食材の種類が少ない人が多かった. また検査データに有意差を生じた項目は男性の糖尿病, 高尿酸血症, 女性の高脂血治療者, 男女の血中脂質等である. (2)非農家で花野菜作りを行なっている人については, ほとんどの項目において順位が農業者と非農家で花野菜も作らない人の間に入っており, 農業をまったくしない人に比べ, 生活状況においては食材摂取状況が良好で, 検査データにおいては動脈硬化危険因子がやや低い傾向が認められた. (3)農業を3時間以上している群では, 男性, 女性, 開始年代を問わず, 食材摂取状況が良好であり, 高血圧, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症の検査データにおいても, 農業をしない群に比べて良好と言える傾向であった. 要因については今後の検討課題であるが, これらの疾病のリスクファクター, 予防対策として, 食生活習慣, 運動習慣が大きな比重を占めることから, 日常の農業労働がこれらの疾病予防に有益に作用した可能性があり, 注目に値する. 本研究は, 独立行政法人農業工学研究所の交付金プロジェクト研究の一環として実施した. 研究の推進に当たっては, 農業工学研究所, 外部評価委員の方々から有益な助言をいただきましたことを深謝致します. |
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ISSN: | 0468-2513 |