当院における抗菌薬の使用調査~ICTへの薬剤部からの情報提供を目的として
近年, 院内感染に対する関心が急速に高まりつつある. そのため, 各施設では感染症制御チーム(ICT)が結成され, 院内感染防止のため日々活動を行なっている. 当院においても, 医師, 看護師, 薬剤師, 検査技師等のコメディカルでICTが結成され, 現在活動中である. 院内感染防止対策を行なう上で, 消毒薬や抗菌薬の適正使用を実施するためには情報解析も重要な役割と考える. 今回, 薬剤部では, 入院患者に使用された抗菌薬について, 系統別使用頻度および増加傾向にある薬剤の使用動向を調査し, 若干の知見を得たので報告する. 平成12年4月から平成17年3月までの5年間における入院患者全病棟全科...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 近年, 院内感染に対する関心が急速に高まりつつある. そのため, 各施設では感染症制御チーム(ICT)が結成され, 院内感染防止のため日々活動を行なっている. 当院においても, 医師, 看護師, 薬剤師, 検査技師等のコメディカルでICTが結成され, 現在活動中である. 院内感染防止対策を行なう上で, 消毒薬や抗菌薬の適正使用を実施するためには情報解析も重要な役割と考える. 今回, 薬剤部では, 入院患者に使用された抗菌薬について, 系統別使用頻度および増加傾向にある薬剤の使用動向を調査し, 若干の知見を得たので報告する. 平成12年4月から平成17年3月までの5年間における入院患者全病棟全科における医事課のデータから抗菌薬を抽出し, 使用量を調査した. 当院における抗菌薬の使用総数は, 平成12年度から平成13年度にかけて急激に増加したが, 平成14年度以降では増減があまり見られなかった. 系統別においては, どの年度もセフェム系の抗菌薬の割合が一番多く, 次いでペニシリン系, カルバペネム系が上げられた. この3種類で全体総数の8割以上を占めていた. 系統別で変化がみられたのは, カルバペネム系で使用割合が徐々にではあるが増加傾向を示した. ポリペプチド系は特に変化がみられなかった. 今回の調査により, 入院患者に使用された抗菌薬はセフェム系が最も多く, その中で, 第三世代の抗菌薬がどの年度も約4割を占めていた. 難治性の感染症の場合, カルバペネム系は治療領域が広く, 効果の出やすい薬剤であるので, 当院においても増加傾向があった. しかし近年, 新たな耐性機構を獲得したβ-ラクタマーゼ産生耐性菌(ESBL)などが出現し, 第二世代, 第三世代で充分治療可能であったものが難しくなってきている. 第三世代セフェム系, カルバペネム系の使用増加に伴い, 耐性菌の産生を促す可能性があり, 今後正確な菌の検出と適切な薬剤選択の迅速な対策が必要と考えられる. ポリペプチド系の使用量が増加しなかったのは, MRSA院内感染が, 飛沫感染ではなく接触感染なので, ICTの啓蒙活動により院内で広まるのを抑えられたためと考えられる. 今回得られた情報を生かし, 各部署での感染に対する関心を高めて院内感染対策に必要な情報を積極的に共有しチーム医療に貢献していきたい. |
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ISSN: | 0468-2513 |