一般急性期病棟で終末期を迎える患者の家族のニードとその表出を阻む因子
一般急性期病棟で終末期を迎える患者の家族は, こと地域の基幹病院においては, 様々なニードを抱えながらそれを表出されず, 医療者が気づかないでいる現状があると推測した. そこで終末期の患者の家族のニードと, その表出を阻む因子を知り, 今後の関わりに役立てたいと考えた. この研究は, 遺族を対象とした半構成的面接法により, 地域の基幹病院の一般急性期病棟で終末期を迎える患者の家族のニードと, その表出を阻む因子の探索を目的とする. 平成14年~16年に地域の基幹病院(340床)の一般急性期病棟(58床)で終末期を迎えた患者の遺族を対象に調査協力依頼を説明後, 書面にて同意を得た. 面接は半構成...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 一般急性期病棟で終末期を迎える患者の家族は, こと地域の基幹病院においては, 様々なニードを抱えながらそれを表出されず, 医療者が気づかないでいる現状があると推測した. そこで終末期の患者の家族のニードと, その表出を阻む因子を知り, 今後の関わりに役立てたいと考えた. この研究は, 遺族を対象とした半構成的面接法により, 地域の基幹病院の一般急性期病棟で終末期を迎える患者の家族のニードと, その表出を阻む因子の探索を目的とする. 平成14年~16年に地域の基幹病院(340床)の一般急性期病棟(58床)で終末期を迎えた患者の遺族を対象に調査協力依頼を説明後, 書面にて同意を得た. 面接は半構成的に行ない, 「家族が入院中困ったこと, してほしかったことは何か」と「そのことを医療者に伝えられなかったのはなぜか」について訊ねた. 10家族に調査協力を依頼したところ, 同意が得られたのは4家族であった. 面接内容の逐語録から, ニードとして抽出されたデータは合計47個であり, そのうち15個が『患者の安楽を保証してほしい』, 9個が『感情を表出したい』というカテゴリーに分類された. 家族がニードを表出できない因子は「患者は人質という観念」「不利益を被る恐れ」「地域性による気兼ね」といった家族側の因子と, 「機会が見つけられない」「意見を聴きいれる医療者の姿勢が感じられない」といった医療者側の因子に分類された. 1.家族のニード;最も多く聴かれた言葉が『患者の安楽を保証してほしい』であることから, 医療者は「大切な家族の一員である患者を, 誠意を尽くして看てほしい」という家族の思いを知り, 慎重に患者にかかわる必要がある. また『感情を表出したい』の言葉も多く聴かれ, 医療者に意見や不満を伝えられずにいる家族の現状が明らかになった. よって医療者には, 家族がニードを表出できるようなかかわりが求められる. 2.家族のニードの表出を阻む因子;「意見を聴きいれる医療者の姿勢が感じられない」「機会が見つけられない」という医療者側の因子を改善することで, 家族側の因子を削減できると考える. ここで医療者の「コミュニケーションの機会づくり」と「聴きいれる態度」の必要性が示唆された. 1.面接調査で聴かれた主な家族のニードは『患者の安楽を保証してほしい』と『感情を表出したい』であった. 2.地域性の強い一般急性期病棟において, 終末期を過ごす患者の家族がニードを表出できない因子は「患者は人質という観念」「不利益を被る恐れ」「地域性による気兼ね」といった家族側の因子と, 「機会が見つけられない」「意見を聴きいれる医療者の姿勢が感じられない」といった医療者側の因子に分類された. 3.ニードの表出を促す家族ケアのために医療者の「コミュニケーションの機会づくり」と「聴きいれる態度」の必要性が示唆された. |
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ISSN: | 0468-2513 |