転倒により骨折した患者の実態調査から見たフットトラブル

骨折した患者のフットトラブルと転倒との関連性を知る. 転倒で骨折し同意を得られた65歳以上の入院患者30名を対象にフットケアカルテ(宮川1)を参考にして爪の色, 肥厚, 表面の変化, 陥入爪, 萎縮と脱落, 剥離, たこ, 外反母趾, 角化症, 偏平足の10項目について調査した. 30名(男7名, 女23名, 60代2名, 70代9名, 80代16名, 90代3名)の両足をフットケアカルテを参考に10項目について観察・調査した結果, 何もトラブルが認められなかったのは2名で, 28名は爪の肥厚, 色の変化など, 足に何らかのトラブルが認められた. 大きく分けると爪と足のトラブルに大別され, 爪...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 加藤久美子, 村上美穂子, 村井美鶴, 高橋美津子, 吉原美恵, 工藤つぎ子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:骨折した患者のフットトラブルと転倒との関連性を知る. 転倒で骨折し同意を得られた65歳以上の入院患者30名を対象にフットケアカルテ(宮川1)を参考にして爪の色, 肥厚, 表面の変化, 陥入爪, 萎縮と脱落, 剥離, たこ, 外反母趾, 角化症, 偏平足の10項目について調査した. 30名(男7名, 女23名, 60代2名, 70代9名, 80代16名, 90代3名)の両足をフットケアカルテを参考に10項目について観察・調査した結果, 何もトラブルが認められなかったのは2名で, 28名は爪の肥厚, 色の変化など, 足に何らかのトラブルが認められた. 大きく分けると爪と足のトラブルに大別され, 爪のトラブルは28名, 足のトラブルは13名であった. 爪の状態で多かった順に色, 肥厚, 表面の変化, 陥入爪, 萎縮と脱落, 剥離であった. 色の変化では, 白濁, 黄色, 黒色変化などが24名, 肥厚は21名, 表面の変化では表面のざらつきや凹凸などが20名, 陥入爪が20名, 更に左右共に第5趾に萎縮と脱落が見られたのは15名であった. 続いて足の状態は, たこ, 外反母趾, 角化症, 偏平足の順で多かった. たこは第5趾側の足底に多く7名, 外反母趾が6名, 角化症が5名であった. 次に爪と足にトラブルがみられた28名のうち, 調査した10項目中1項目だけの患者が1名で, 2項目以上の患者は27名であった. その中でも5項目以上の患者は16名であった. ただし, 同一の変化が複数みられても1項目とした. 転倒により骨折した患者の爪と足の調査をした結果, 28名と多くの患者にフットトラブルがあった. 宮川は「足の爪は, 足の先端にかかる負担のバランスをとっているだけでなく, 体全体を支えている. もしも一本でも爪に障害でもあれば, 正常に立ったり歩いたりするのが難しくなる.」と述べている. フットトラブルの中で第5趾の爪に萎縮と脱落がみられたのは15名で, 第5趾側の足底にたこがみられたのは7名という結果からも, 身体を支える機能に影響を及ぼし転倒しやすくなると考えられる. また, 転倒により骨折した患者の多くはフットトラブルが重複していた. 大表らは「複数の足の問題が重複することにより, 転倒のリスクは増大する.」と述べているように複数のフットトラブルを抱えていることは, 転倒の一因となりうると考えられる. 高齢者は加齢に伴い視力低下や筋力低下により, 足先に目が届かなくなったり, 爪切りや足の保清が十分にできなくなる. また, 痛みがないと爪や足のトラブルがあっても気付きにくく, フットケアに関心が薄い傾向にある. 今回の調査から転倒のリスクを減少させるためには爪や足に関心をもち, ケアしていくことの重要性を確認できた. 1.転倒により骨折した患者の30名中28名は, フットトラブルを抱えていた. 2.複数のフットトラブルを抱えていることは, 転倒の一因となりうる. 3.転倒のリスクを減少させるためには爪や足に関心をもち, ケアしていくことが重要である.
ISSN:0468-2513