地域における介護需要の検討~第1報 健康寿命算定の試み
少子高齢化の進行と要介護者の増加は, 地域保健福祉の分野の目前の課題である. 介護保険施行5年目を迎え, 見直しの議論が盛んに行なわれている. その方向付けの一つが, 健康寿命を延ばし生活の質を上げることである. 2000年に厚生労働省が策定した「健康日本21」では健康寿命のことを「痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間」と定義している. 地域保健福祉の分野の基礎データとして, 地域における健康寿命というものをどの様な方法で把握したらいいのかと言う課題がある. 切明義孝氏の「介護保険制度を利用した健康寿命計算マニュアル」では65才を基準に健康余命を算出し, これと65才の平均余命の差を障...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 2005, Vol.54 (3), p.360-360 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 少子高齢化の進行と要介護者の増加は, 地域保健福祉の分野の目前の課題である. 介護保険施行5年目を迎え, 見直しの議論が盛んに行なわれている. その方向付けの一つが, 健康寿命を延ばし生活の質を上げることである. 2000年に厚生労働省が策定した「健康日本21」では健康寿命のことを「痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間」と定義している. 地域保健福祉の分野の基礎データとして, 地域における健康寿命というものをどの様な方法で把握したらいいのかと言う課題がある. 切明義孝氏の「介護保険制度を利用した健康寿命計算マニュアル」では65才を基準に健康余命を算出し, これと65才の平均余命の差を障害期間として, 0才の平均余命すなわち平均寿命から障害期間を引いたものを健康寿命と見なしている. 今回は, 秋田県南部のY市から介護保険の要介護認定者の性別・年令別データを5年分(2000年から2004年)いただき検討した. Y市の男性の障害期間は2000年のデータで0.6年, 2002年は1.2年となった. 健康寿命はそれぞれ76.9才と76.3才となり, 2年間に0.6才短縮したことになる. 女性では1.7才短縮している. このプログラムで計算した自立率を男女別に見ると, 2002年の方が自立率が低くなっている. 特に, 2002年の高齢女性の低下が目立つ. Y市の2000年から2004年の各年10月の認定者実数は男性で112人から404人に, 女性で391人から1161人に増加している. 65才以上人口に対する比率は, 男性で2.8%から9.6%に, 女性で5.1%から14.8%に増加した. これは, 要介護者が急速に増加したと言うより, 介護保険の認定作業が進んだ結果と見るべきであると考える. 認定率を65才から74才の前期高齢者と, 75才以上の後期高齢者に分けた場合, 前期高齢者ではほとんど5年間の増加を認めないのに対して, 後期高齢者における急速な増加が明らかであった. この地域の高齢化率は98年から2004年の間に22.8%から26.5%に3.7%増加したが, 増加部分はほとんど後期高齢者で占められている. 後期高齢者の方が要介護者が多くなるのは当然であり, 要介護要支援者の実数が増えている可能性が高い. また, 2000年と2004年の男女別, 年令別の要介護度の結果を見ると, 要介護4以上の比率が男性で30.4%から33.2%, 女性で21.7%から29.0%と上昇している. 要介護度の重度化傾向も考慮する必要がある. 1)地域における介護需要の動向を検討するため, 生命表の計算法を応用した健康寿命の算定を試みた. 2)Y市における2002年の健康寿命は男性76.3才, 女性81.5才で, 2000年の男性76.9才, 女性83.2才より短縮していた. 3)この理由としてa.要介護認定率が年々上昇していること, b.後期高齢者の増加, c.後期高齢者の要介護度の上昇などの背景要因が考えられた. この方法の導入に当たり重要なご示唆をいただいた福井県厚生連にお礼申し上げます. |
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ISSN: | 0468-2513 |