当院における糖尿病療養検討委員会の活動と支援システムの構築

糖尿病治療の継続的な推進のためには, 患者を中心としたチームアプローチが重要な役割を果たす. そこで富士見高原病院では, 平成16年2月より糖尿病療養検討委員会を組織し, 患者の治療と療養指導に関し, 問題のある症例を中心に意見交換を行なっているが, 今回, 各部署で得た患者情報を共有するため, 市販のデータベース(以下DB)ソフトを用いて, 糖尿病患者管理システムを構築したので委員会での活動とあわせて報告する. 1)基本システムの構築 本システムは「Access2000」を用い, 「患者の基本情報入力」と「問題点登録」の2つのDBにより構築した. この中には, HbA1cや行動変化ステージ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 井上博文, 上月喜美子, 三嶋隆之, 朝倉みちる, 長坂卓也, 伊東美恵子, 矢澤正信
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:糖尿病治療の継続的な推進のためには, 患者を中心としたチームアプローチが重要な役割を果たす. そこで富士見高原病院では, 平成16年2月より糖尿病療養検討委員会を組織し, 患者の治療と療養指導に関し, 問題のある症例を中心に意見交換を行なっているが, 今回, 各部署で得た患者情報を共有するため, 市販のデータベース(以下DB)ソフトを用いて, 糖尿病患者管理システムを構築したので委員会での活動とあわせて報告する. 1)基本システムの構築 本システムは「Access2000」を用い, 「患者の基本情報入力」と「問題点登録」の2つのDBにより構築した. この中には, HbA1cや行動変化ステージの推移が入力できる様にした. また, 院内LANのファイルサーバにDBを設置し, 医師や薬剤師などのコ・メディカルスタッフによる各職場や病棟で情報の入力, 検索を可能とした. 2)糖尿病療養検討委員会の活動内容 委員会は, 医師1名, 看護師2名, 薬剤師1名, 臨床検査技師1名, 栄養士1名と理学療法士1名で構成されている. 月二回の定例委員会を開催し, 上記システムにより得られた, 特に問題となる症例について検討を行なっている. 具体的には, 各自の専門的な立場から見た療養上の問題点と解決方法について提起し, 意見交換を行なったのち, 推奨される指導, 治療方法の検討や具体的アプローチの提言を行ない, 医師に結果を報告する. また, 最新の療養指導情報の交換も行なわれている. 平成16年2月から平成17年4月まで延べ23名(男性4名, 女性9名)の患者について委員会での検討を行なった. 平均年齢は52.3歳で, 20から40歳代が8名であり, BMI25以上の肥満は4人であった. 1型糖尿病は2名で他は2型糖尿病であり, 指導開始時のHbA1cの平均は9.8%であった. 問題点では, 環境要因として経済的問題, 家庭内の問題, 骨折, 膝関節痛などがあり, 心理的要因としてうつ病, 低血糖に対する恐怖などが見られ, それによる食事・運動・薬物療法などに対するセルフケア行動の実行度低下が認められた. この中から問題点とアプローチ方法が変化し, チームとしての関わりが有効だった症例を呈示する. 患者は39歳女性, BMI30.9の肥満と小児麻痺による左上下肢の運動障害を有する. 2年前から口渇などの自覚症状あり平成16年3月初診. HbA1c14.1%の2型糖尿病の診断で当委員会の対象者として挙げられた. 早期からの理学療法士, 栄養士の指導により8月にはHbA1c6%となったが, 平成17年3月には骨折を期にHbA1cは13%まで上昇した. このためインスリン自己注を導入, デバイスの補助器具の使用などで薬剤師が指導に参加し, HbA1cも改善傾向にある. 以上のDBを用いた糖尿病患者管理システムにより他職種のスタッフが患者療養上の様々な問題点を管理・共有することが可能となった. これに基づいた共通の認識の下に, より望ましい療養支援を行ない, セルフケア行動を高めていけるものと考える.
ISSN:0468-2513