健康教育介入による内臓肥満変化と代謝パラメータ改善との関係
インスリン抵抗性を基礎病態とし, 内臓肥満, 脂質代謝異常, 高血圧を合併したメタボリック・シンドロームが農村で増加し, 予防対策の樹立が急がれている. 我々は昨年の本学会で, 健康教育介入による生活習慣変容により, 体重とウエスト囲の減少および脂質異常の改善を報告した. 2005年4月に日本内科学会などにより日本人向けのメタボリック・シンドローム診断基準が決定され, 内臓肥満の診断にウエスト囲が採用された. 今回は, 健康教育介入による内臓肥満(体重およびウエスト囲)変化と代謝パラメータ改善との関係について検討した. 2000~2004年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加...
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Zusammenfassung: | インスリン抵抗性を基礎病態とし, 内臓肥満, 脂質代謝異常, 高血圧を合併したメタボリック・シンドロームが農村で増加し, 予防対策の樹立が急がれている. 我々は昨年の本学会で, 健康教育介入による生活習慣変容により, 体重とウエスト囲の減少および脂質異常の改善を報告した. 2005年4月に日本内科学会などにより日本人向けのメタボリック・シンドローム診断基準が決定され, 内臓肥満の診断にウエスト囲が採用された. 今回は, 健康教育介入による内臓肥満(体重およびウエスト囲)変化と代謝パラメータ改善との関係について検討した. 2000~2004年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加した住民244名(男55, 女189)を対象とした. 肥満改善プログラムは, 健康学習による行動変容理論に基づいて構成している(2004年発表). プログラム前後(8月と11月)に, 栄養摂取量と身体活動度の調査および身体計測, 12時間絶食後の採血を行なった. 栄養・運動調査時に健康データを加えて行動目標を設定し, 歩数および目標達成度を毎日記録した. 統計学的解析にはSPSS12.0Jを使用し, 肥満改善プログラム前後における体重およびウエスト囲と各変数との関係を解析した. 本プログラムによって摂取熱量は227kcal減少し, 消費熱量は172kcal, 1日歩数は3,595歩と有意に増加した. この結果, 熱量出納は, 399kcalの減少となった. プログラム前後で, 体重1.3kg, ウエスト囲1.75cm減少した. BMI, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 総コレステロール, LDL-C, 中性脂肪が有意に減少し, HDL-Cが有意に増加したが, 血糖は変化しなかった. 内蔵肥満変化に寄与した行動変容および体格要因を明らかにするために線型回帰分析(ステップワイズ)を行なった結果, 体重変化量には, 摂取熱量差が最も多く寄与し, ついで減量前体重, 消費熱量差により32%を説明した. ウエスト囲変化量には, 同じく摂取熱量差が最も多く寄与し, 減量前ウエスト囲, 消費熱量差, 性により15%を説明した. 代謝パラメータ改善と行動変容および体格要因について分析を行なった結果, 体重変化量は中性脂肪とHDL-Cの変化量をわずかに説明したが, 血糖の変化量は説明しなかった. ウエスト囲変化量は中性脂肪, HDL-C, 血糖のいずれの変化量も説明しなかった. 内臓肥満の診断基準に採用されたウエスト囲は, 血圧, 血清脂質, 血糖, インスリンとの相関が高くメタボリック・シンドロームのスクリーニングに有効であるが, その変化量相互の関係性は小さい. 我々の健康教育介入によるウエスト囲変化量は, 摂取熱量差と消費熱量差および介入前のサイズ, 性によって予測されたが, その予測値は体重変化量の約半分であり, 代謝パラメータ改善への寄与率も低かった. 原因として, 参加者の大半を占める女性の介入前のウエスト囲が77cmで内臓肥満基準値90cmを大きく下回っていたこと, 運動により全身的な体重減少がなされたこと, 体重減少に伴う体型変化を捉えるウエスト囲測定は高度な技術を要すること等が原因として推測される. 健康教育介入時の経過観察にはウエスト囲と体重の併用が望ましいと考える. |
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ISSN: | 0468-2513 |