8. 当科における院内肺炎の現状-院内肺炎ガイドラインに照らし合わせて
院内肺炎は入院1, 000件につき1~6件の発生がみられると言われているが, 死亡率は20~50%と高く, ICU 入室例では更にその割合が上昇する. その診断治療についての指標として2002年3月に日本呼吸器学会よりガイドラインが公表された. 今回当科における院内肺炎の状況について, ガイドラインと照らし合わせる形で検討15年6月1日までに当科に入院した延べ813人. このうち, 院内肺炎患者は29人(4%) であった. 内訳は肺癌患者215人中13例(6%), 入院時診断名の肺炎患者176人中9例(5%), 以下気管支喘息, 陳旧性肺結核症2例ずつ, 肺気腫, 間質性肺炎, 気管切開術後の...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 2004, Vol.53 (4), p.729-729 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 院内肺炎は入院1, 000件につき1~6件の発生がみられると言われているが, 死亡率は20~50%と高く, ICU 入室例では更にその割合が上昇する. その診断治療についての指標として2002年3月に日本呼吸器学会よりガイドラインが公表された. 今回当科における院内肺炎の状況について, ガイドラインと照らし合わせる形で検討15年6月1日までに当科に入院した延べ813人. このうち, 院内肺炎患者は29人(4%) であった. 内訳は肺癌患者215人中13例(6%), 入院時診断名の肺炎患者176人中9例(5%), 以下気管支喘息, 陳旧性肺結核症2例ずつ, 肺気腫, 間質性肺炎, 気管切開術後の患者1例ずつであった. 院内肺炎による死亡は5例(17%)に見られた. ICU 入室患者は15例あったが, うち院内肺炎患者は1例のみ(7%)であり, ICU 入室例における院内肺炎死亡例はなかった. 性別では70%が男性で, 平均年齢は72.4歳であり, 19例が70歳以上であった. 全例が脳梗塞, ステロイド投与など何らかの危険因子を有していた. ガイドラインの重症度分類にあてはめると約半数が軽症であった. 群別による分類ではIV-1a(化学療法, 放射線療法施行)群とIV-3(誤嚥)群の割合が多かった. 起因菌の検索では29人中8例に施行されているに過ぎず, 6例がMRSA であり, その他はMRCNS, P. aeruginosa, Branha. catarrhalis が1例ずつであった. 治療については第4世代セフェム系やカルバペネム系の使用が中心であったが, MEPM を頻用する傾向にあった. 今回の検討では院内肺炎の発生率は高いが死亡率は従来の報告と同等の17%であった. レトロスペクティブな検討であったが概ね ガイドラインに沿った治療内容であった. 院内肺炎の治療については積極的な起因菌検索や薬剤耐性菌出現の回避のために使用薬剤の選択を十分に検討する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0468-2513 |