24. 療養型病床入院中の患者のレクリエーションに取り組んで
本研究は療養型病床に入院中の患者様の単調化しやすい生活に変化が感じられる様に行なうレクリエーション(以下レクとする)を通して, 対人意識及び残存機能の保持, 回復にどのような影響を与えたか. その効果を明らかにしたものである. 研究方法は日常生活動作(以下 ADL とする)の低下の著明な患者様14名を対象に, ADL の範囲の拡大のために視覚, 聴覚, 反射感覚等を刺激するゲームを取入れた. 毎日のゲームは風船遊びや輪投げ, ボーリング, リハビリ体操などを実施した. その効果をレク チェック表を用いて看護者が評価をした. チェックは継続的に実施しているが, 今回は平成14年7月1日から10月...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 2004, Vol.53 (4), p.708-709 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 本研究は療養型病床に入院中の患者様の単調化しやすい生活に変化が感じられる様に行なうレクリエーション(以下レクとする)を通して, 対人意識及び残存機能の保持, 回復にどのような影響を与えたか. その効果を明らかにしたものである. 研究方法は日常生活動作(以下 ADL とする)の低下の著明な患者様14名を対象に, ADL の範囲の拡大のために視覚, 聴覚, 反射感覚等を刺激するゲームを取入れた. 毎日のゲームは風船遊びや輪投げ, ボーリング, リハビリ体操などを実施した. その効果をレク チェック表を用いて看護者が評価をした. チェックは継続的に実施しているが, 今回は平成14年7月1日から10月30日の4か月間のものをまとめた. その中で効果が見られた4名, 内訳は, 脳血管障害による痴呆の患者様2名(A, B 氏), アルツハイマーによる痴呆の患者様2名(C, D 氏)の変化を報告する. A 氏は座位保持が不可能だったが可能となった. B 氏は周囲に無関心, 移動は全介助, 昼夜不眠状態だったが周囲に関心を示すようになり, 会話が成立し, 移動は見守れば自分で出来るようになり, 夜間も良眠可となった. C 氏はスタッフや他の患者様に乱暴な言葉や暴力を振るうことがあった. しかし, スタッフの言葉かけで表情が和らぎ暴力行為が減少した. D 氏は食事の摂取量が1~2割で, 口から吐き出してごみ箱に捨てたりしていた. しかし, 食欲が出てきてほぼ全量摂取出来るようになった. 以上の事から, レクに参加したことにより運動機能の点から残存機能が維持回復し, 精神面では集団の中でボールを打ったり, 歌を歌ったりすることで 集中力が高められた. また, ゲームのルールを守ることで対人意識が少しずつではあるが芽生えて, その事が個々の患者様本来の落着きや表情の和らかさも取戻した. 人間の持つ感情が, 楽しい雰囲気の中で徐々に身体と心を動かし, 人間の基本的欲求である「自己表現」「社会の一員」でありたいという欲求意識を刺激した. 硯川らは「ある高齢者の声として新しい仲間との出会いによって, やるべき事柄が見つかった. 」と紹介し, レクを生きがいとしている例をあげている. レクを継続することで単調な毎 日が次回への意欲につながり, また, ADL の拡大により日常生活にも変化がもたらされた. 表情や感情面でも本来の様相を取戻した. 更に一患者様とスタッフの信頼関係が深められたこと等は意義深いものがある. |
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ISSN: | 0468-2513 |