8. メシル酸ガベキサートによる皮膚障害の1例

メシル酸ガベキサート(以下FOYBと略)は強力な蛋白分解酵素阻害剤であり, 至適濃度では膵炎, DICに極めて有用とされているが, 著しい高濃度では細胞毒性を発現することも知られている. 今回我々はFOYの点滴静注による血管障害の結果, 前腕部に皮下腫瘤を形成した症例を経験した. 症例は66歳の男性で, ERCP後の膵炎予防のため, 左前腕の末梢静脈よりFOY600mg+5%ブドウ糖液500mlを1回点滴した. 2週間後に左前腕屈側の点滴部の皮下硬結に気付き, 増大するため当科を受診した. 初診時, 左前腕屈側に径2.5cm程の弾性硬の皮下腫瘤を認め, 連続して索状の皮下硬結を認める. 病理組...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2002, Vol.50 (5), p.733-734
Hauptverfasser: 立石八寿貴, 佐藤英嗣, 皆内康一郎, 菊池英明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:メシル酸ガベキサート(以下FOYBと略)は強力な蛋白分解酵素阻害剤であり, 至適濃度では膵炎, DICに極めて有用とされているが, 著しい高濃度では細胞毒性を発現することも知られている. 今回我々はFOYの点滴静注による血管障害の結果, 前腕部に皮下腫瘤を形成した症例を経験した. 症例は66歳の男性で, ERCP後の膵炎予防のため, 左前腕の末梢静脈よりFOY600mg+5%ブドウ糖液500mlを1回点滴した. 2週間後に左前腕屈側の点滴部の皮下硬結に気付き, 増大するため当科を受診した. 初診時, 左前腕屈側に径2.5cm程の弾性硬の皮下腫瘤を認め, 連続して索状の皮下硬結を認める. 病理組織所見で皮下脂肪織に好中球, 好酸球主体の強い炎症細胞浸潤を認めた. 局所壊死を惹起するような原疾患もないためFOYによる血管障害と診断し, 冷却と冷湿布で経過観察を続けたところ, 腫瘤の縮小を認めた.
ISSN:0468-2513