SU剤にて一時的にインスリン分泌が改善された1型糖尿病の1例

一時的ではあるがSU剤にてインスリン分泌能の著明な改善をみとめた1型糖尿病を経験し, 1型糖尿病の寛解機序解明の参考になると思われたので報告する。 症例は, 62歳の女性で, 1996年11月口渇, 9kgの体重減少で急激に発症した。入院時検査では, FPG320mg/dl, HbA1c13.0%, 抗GAD抗体が118.9U/mlと陽性で, 尿CPRは28.6μg/日と低値であった。以上より1型糖尿病と診断されたが, 患者の希望にてグリベンクラミド10mg/日を投与した。入院45日目の尿CPRは70.0μg/日と著明に改善していた。退院後6か月間はグリベンクラミドにてHbA1cも6%とコント...

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Veröffentlicht in:日本農村医学会雑誌 2000/11/30, Vol.49(4), pp.626-630
Hauptverfasser: 亀谷, 富夫, 橋爪, 清盛, 柴田, 和彦, 清水, 邦芳, 越田, 英夫, 堀上, 健幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:一時的ではあるがSU剤にてインスリン分泌能の著明な改善をみとめた1型糖尿病を経験し, 1型糖尿病の寛解機序解明の参考になると思われたので報告する。 症例は, 62歳の女性で, 1996年11月口渇, 9kgの体重減少で急激に発症した。入院時検査では, FPG320mg/dl, HbA1c13.0%, 抗GAD抗体が118.9U/mlと陽性で, 尿CPRは28.6μg/日と低値であった。以上より1型糖尿病と診断されたが, 患者の希望にてグリベンクラミド10mg/日を投与した。入院45日目の尿CPRは70.0μg/日と著明に改善していた。退院後6か月間はグリベンクラミドにてHbA1cも6%とコントロール良好であったが, 次第にコントロール不良となり1998年3月2日に再入院となった。再入院時の抗GAD抗体は138.1U/mlと増加しており, 尿CPRは24.0μg/日と低下していた。ノボレット30Rインスリンの2回注射を開始後コントロールは改善したが, 発症2年後には尿CPRは11.7μg/日と更に低下しコントロールも不良となりインスリン頻回注射に変更した。インスリン治療ではなくSU剤治療にて一時的ではあるが内因性インスリン分泌が正常まで改善された。これは, 1型糖尿病でも発症初期において糖毒性がかなり重要な因子を占めていることを示唆していると思われる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.49.626