10.介護保険でどこまで在宅が可能か

Nさんは61歳男性でパーキンソン症候群, 糖尿病があり, 肺炎を起して入院してから寝たきり状態となり, 気管切開, 経管栄養, 褥瘡等在宅生活は無理と思われたが, 1年5か月の入院後, 年齢も若く, 本人の希望もあり, 退院したので, このような医療依存度の高いケースの在宅介護がどこまで可能か検討してみた. 1. 平日, 日中だけのケアプランによる料金. 訪問看護67,600円, 訪問介護116,800円, 往診58,500円, 合計325,00円2. 夜間, 土日の妻の介護分を早朝, 夜間, 夕, 深夜, 土日昼間分の訪問介護料金に換算すると合計902,905円となる. 3. 一番高額の介護度5と仮定すると, サービス利用限度額は在宅で368,000円, 療養型病床で431,000円で平日日中だけの関わりでほぼ1か月の在宅の限度額になってしまい, 限度額を超える分については, 家族が自分で介護するか限度額を超える分を自分で負担しなければならない. 4. 以上のことから療養型病床群に入院させてもらう方が自然な選択だと思われるが, 自宅に帰りたいという本人の強い希望がある場合にそれを叶えてやるには家族にかなりの覚悟がないと出来ない. 介護保険の大きな目的である在宅を推進していくためには, 保険の中で賄いきれない部分を誰がどう負担して行くかが大きな課題である.