終末期医療で病院は収入を上げているか
終末期の医療で過剰な延命治療が行われ, それが医療費増の一因であるとの説がある。平成9年7月から同年12月までの期間に内科に入院した肺癌, 肝癌の患者, 外科に入院した胃癌, 大腸癌の患者計300例を, 積極的療法を受けたA群186例と対症療法を受けたB群114例に分け, 4種の悪性腫瘍について無作為にA・B群を10例ずつ, 計80例を選び, 医療費の推移を比較検討した。 A群の医療費に比べB群は50%~70%有意に低かった。5日間ごとの医療費の推移をみると, 退院前6日までは4疾患のいずれでもA群はB群の医療費に比し有意に高いが, その後A群の医療費は激減し, B群では医療費に変化が少ないの...
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Veröffentlicht in: | 日本農村医学会雑誌 1999/07/20, Vol.48(2), pp.116-123 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 終末期の医療で過剰な延命治療が行われ, それが医療費増の一因であるとの説がある。平成9年7月から同年12月までの期間に内科に入院した肺癌, 肝癌の患者, 外科に入院した胃癌, 大腸癌の患者計300例を, 積極的療法を受けたA群186例と対症療法を受けたB群114例に分け, 4種の悪性腫瘍について無作為にA・B群を10例ずつ, 計80例を選び, 医療費の推移を比較検討した。 A群の医療費に比べB群は50%~70%有意に低かった。5日間ごとの医療費の推移をみると, 退院前6日までは4疾患のいずれでもA群はB群の医療費に比し有意に高いが, その後A群の医療費は激減し, B群では医療費に変化が少ないので退院前の5日間では, 肺癌, 肝癌, 胃癌でA・B群間の有意差は消失した。また, 肺癌, 肝癌については同時期の内科の入院平均医療費と, 胃癌, 大腸癌については同時期の外科の入院平均医療費と比較したところ, A群では肺癌, 肝癌, 胃癌で平均医療費よりそれぞれ5%~17%とわずかに高かったが, 大腸癌では有意差がなかった。B群ではいずれの疾患でも平均医療費の方が40%以上高かった。当病院の成績からは, 終末期の医療で過剰な延命治療が行われているとの証拠は見出せず, 延命医療による医療費増加説を否定する結果となった。終末期の過剰診療・医療費押上げ論が正しいか否かは, 医療側も支払い側も, 根拠となるデータを示して論じる必要がある。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.48.116 |