当院における女性の妊孕性温存療法の現状と問題点についての検討
「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法研究促進事業」が開始され, 社会的関心が高まっているが, 日本がん・生殖医療登録システムへの登録は始まったばかりである. これまでの当院における未受精卵子, および胚盤胞の凍結による妊孕性温存治療(FP)の現状とその成績について報告する. 2009年1月から2022年3月までに妊孕性温存療法を行った77症例119周期について, 原疾患, 治療内容および原疾患治療後の臨床成績を後方視的に検討した. 初診時年齢は33.3±5.6歳, 既婚率51%(39/77)であった. 原疾患担当医からの紹介は96%(74/77)であり, 原疾患内訳は, 乳癌5...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2023-06, Vol.72 (2), p.281-287 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法研究促進事業」が開始され, 社会的関心が高まっているが, 日本がん・生殖医療登録システムへの登録は始まったばかりである. これまでの当院における未受精卵子, および胚盤胞の凍結による妊孕性温存治療(FP)の現状とその成績について報告する. 2009年1月から2022年3月までに妊孕性温存療法を行った77症例119周期について, 原疾患, 治療内容および原疾患治療後の臨床成績を後方視的に検討した. 初診時年齢は33.3±5.6歳, 既婚率51%(39/77)であった. 原疾患担当医からの紹介は96%(74/77)であり, 原疾患内訳は, 乳癌59例, 血液疾患8例, その他10例で, 乳癌が全体の77%を占めていた. FPは胚凍結34例, 卵子凍結42例, 胚&卵子凍結1例を行っていた. 周期あたり85%(101/119), 症例あたりでは99%(76/77)が保管できており, 平均凍結胚数は5.5個, 凍結卵子数は12.6個であった. 卵巣刺激法は119周期のうちランダムスタート法が40%(47周期)を占め, アンタゴニスト法66%(78周期), PPOS法13%(16周期), その他21%(25周期)であった. 症例あたりの融解利用率は22%(17/76), 廃棄率19%(14/76)であった. 廃棄を希望した14症例の内訳は, 本人死亡2例, 離婚1例, 妊娠3例, 不明8例であった. 原疾患治療後に融解胚移植を行った症例は17例であり, 12例が妊娠し, 11例が出産, 1例が流産であった. 胚移植あたりの妊娠率は40%(16/40)であった. FP後の妊娠率は高く, その有用性が改めて確認された. 原疾患によって既婚率や利用率が異なるため, 患者の状況に応じた適切かつ迅速なFPの実施が求められる. |
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ISSN: | 1882-482X |