増大する子宮頸部筋腫より発生した悪性孤立性線維性腫瘍 (malignant solitary fibrous tumor) の1例
孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor; SFT)は, 1931年に胸腔内病変として初めて報告された間葉系細胞由来の稀な腫瘍で主に胸腔内に68%発生する腫瘍であり, 骨盤内に発生するSFTは約1%と稀である. 今回, 急激な増大を認めた子宮頸部筋腫に対し, 肉腫を考慮し, 子宮全摘術を施行し, 術後病理にて悪性孤立性線維性腫瘍と診断された一例を経験したので報告する. 症例 45歳 女性. 妊娠中, 子宮頸部に3cm大の筋腫を認め, 産後1ヶ月健診でも同様のサイズであった. 産褥6ヶ月に, かかりつけ医にて既知の子宮頸部筋腫に対して定期受診をした際に6cmと急な増大を認め...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2023-06, Vol.72 (2), p.273-279 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor; SFT)は, 1931年に胸腔内病変として初めて報告された間葉系細胞由来の稀な腫瘍で主に胸腔内に68%発生する腫瘍であり, 骨盤内に発生するSFTは約1%と稀である. 今回, 急激な増大を認めた子宮頸部筋腫に対し, 肉腫を考慮し, 子宮全摘術を施行し, 術後病理にて悪性孤立性線維性腫瘍と診断された一例を経験したので報告する. 症例 45歳 女性. 妊娠中, 子宮頸部に3cm大の筋腫を認め, 産後1ヶ月健診でも同様のサイズであった. 産褥6ヶ月に, かかりつけ医にて既知の子宮頸部筋腫に対して定期受診をした際に6cmと急な増大を認め, 精査加療目的に当院に紹介. MRI検査では頸部筋腫の長径は9cmに達し, T1強調画像では低信号, T2強調画像ではやや高信号も混在する像で, 拡散強調画像では高信号かつADCmap低信号を呈する箇所あり, Gd造影画像では不均一な造影効果を認めた. さらに腫瘍内部は壊死変性を伴い, 肉腫を否定できず, 子宮全摘術を施行した. 子宮頸部から後腹膜腔へと広基性に発生する超手拳大の筋腫様腫瘍が確認された. 摘出した腫瘍割面は一部壊死と思われる軟組織が認められた. 病理組織検査所見ではHE染色にて紡錐形細胞の増殖が密に増生するpatternless patternを認め, 免疫染色ではCD34陽性, bcl-2陽性, STAT6陽性というSFTの特徴的な所見を認めた. また高い細胞密度や核分裂像, 壊死像を伴い, 悪性SFTと診断した. 術後, 遠隔転移を考慮して造影CTにて全身検索を行ったが, 転移所見はなく, 現在まで明らかな再発・転移兆候は認めていない. SFTの多くは良性腫瘍で予後良好であるが, 悪性SFTは再発や転移を来すことが多く, 長期の経過観察が重要とされている. 骨盤内に発生するSFTは稀であり, 特徴的な画像所見に乏しく, 本症例のように子宮筋腫や卵巣腫瘍の診断で手術を施行されている症例が本邦でも少数報告されており, 急速に増大する充実性腫瘍の1つとして注意が必要である. |
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ISSN: | 1882-482X |