Half-dose Bevacizumab療法により終末期の腹水コントロールが可能であった腹膜癌の2例
卵巣癌・腹膜癌の終末期では約6割の症例に腹水貯留を認め, その治療に難渋することが多い. Bevacizumabは血管内皮細胞増殖因子と選択的に結合し, その働きを阻害することで血管透過性を改善するため, 癌終末期の腹水コントロールに有効であることが報告されている. 今回我々は, half-dose Bevacizumab療法が腹膜癌終末期の腹水コントロールに有効であった2例を経験したので報告する. 症例1は66歳, 腹膜癌IIIC期. Paclitaxel + Carboplatin療法を含む4レジメンの化学療法施行後に病勢増悪となり, 著明な腹水貯留を認めたため, 頻回の腹水除去を要した....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2023-06, Vol.72 (2), p.267-271 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 卵巣癌・腹膜癌の終末期では約6割の症例に腹水貯留を認め, その治療に難渋することが多い. Bevacizumabは血管内皮細胞増殖因子と選択的に結合し, その働きを阻害することで血管透過性を改善するため, 癌終末期の腹水コントロールに有効であることが報告されている. 今回我々は, half-dose Bevacizumab療法が腹膜癌終末期の腹水コントロールに有効であった2例を経験したので報告する. 症例1は66歳, 腹膜癌IIIC期. Paclitaxel + Carboplatin療法を含む4レジメンの化学療法施行後に病勢増悪となり, 著明な腹水貯留を認めたため, 頻回の腹水除去を要した. インフォームドコンセントを行った後, 腹水コントロール目的でhalf-dose Bevacizumab療法(7.5mg/kg 3-4週間毎)を開始した. 治療開始後より腹水は減少し, 計23回施行中に腹水除去が必要となったのは2回であった. 原疾患増悪のため, 治療開始後1年5か月で永眠した. 症例2は67歳, 腹膜癌IIIC期. 術前化学療法施行後に根治術を行い, optimal surgeryとなった. 再発後, Paclitaxel + Carboplatin療法を含む4レジメンの化学療法施行後に病勢増悪となり, 腹水の増加を認めた. インフォームドコンセントを行った後, 腹水コントロール目的で half-dose Bevacizumab療法(7.5mg/kg 3-4週間毎)を開始した. 治療開始後より腹水は減少し, 計3回施行中に腹水除去が必要となることはなかった. 原疾患増悪のため, 治療開始後4か月で永眠した. Half-dose Bevacizumab療法により腹水が減少し, 良好な生活の質を得た腹膜癌の2例を経験した. Half-dose Bevacizumab療法は腹膜癌終末期の腹水コントロールに有用である可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 1882-482X |