正期産COVID-19感染妊婦に対する帝王切開の安全性に関する検討

【緒言】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が妊娠に及ばす影響は感染拡大初期から注目されていた. COVID-19は重症化, 早産, 死産などの悪影響を妊婦に及ばす可能性があるが, 重症化予防に寄与する新型コロナワクチン接種は妊婦に悪影響を及ぼさない. しかしながら, 妊婦のワクチン接種の割合は低いまま推移している. 現時点では一定の感染妊婦が正期産の時期に認められ, 分娩医療機関は分娩様式などの対応に苦慮し, 帝王切開が選択されることも少なくない. 今回COVID-19合併妊婦およびCOVID-19非合併妊婦の帝王切開による出産を比較し, 母児への安全性について検討した. 【方法】2...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2023-12, Vol.72 (1), p.19-23
Hauptverfasser: 後藤冴香, 齋藤渉, 松本桂子, 松本良, 杉原弥香, 西村広健, 谷野雅昭, 吉岡大介, 桑原篤憲, 大石智洋, 下屋浩一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【緒言】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が妊娠に及ばす影響は感染拡大初期から注目されていた. COVID-19は重症化, 早産, 死産などの悪影響を妊婦に及ばす可能性があるが, 重症化予防に寄与する新型コロナワクチン接種は妊婦に悪影響を及ぼさない. しかしながら, 妊婦のワクチン接種の割合は低いまま推移している. 現時点では一定の感染妊婦が正期産の時期に認められ, 分娩医療機関は分娩様式などの対応に苦慮し, 帝王切開が選択されることも少なくない. 今回COVID-19合併妊婦およびCOVID-19非合併妊婦の帝王切開による出産を比較し, 母児への安全性について検討した. 【方法】2021年6月から2022年10月までの期間において正期産時に帝王切開を行った感染妊婦(感染群15例)と反復帝王切開となった非感染妊婦(対照群30例)について周産期予後を比較した. 【結果】母体年齢や手術時間, 術中出血量については感染群で有意に低値であった. また妊娠分娩回数や母体の術翌日の白血球数, CRPについても感染群の方が有意に低かった. 妊娠週数や発熱, 創部感染症の有無, 胎盤病理での炎症所見, 出生体重, 臍帯血ガス所見, アプガースコアについては両群に統計学的に有意な差はなく, 母児とも短期予後においては差は認められなかった. 【考察】両群の周産期予後の比較検討により, 対照群の方が術後癒着の影響で手術時間と出血量が増加する可能性が否定できないと考えられた. 感染群において術翌日の炎症反応の上昇は認められなかった. 児の予後は両群とも統計学的に有意な差はなくCOVID-19による影響は明らかではなかった. 現時点で正期産妊婦の感染例では感染拡大を抑える目的で帝王切開によって対応されていることが少なくない. 出産後も感染制御のために母子分離となることも多く, 感染群に対して経腟分娩をどのように模索するかは今後の課題と考えられた.
ISSN:1882-482X