総投与量1,132mgで発症した塩酸リトドリンによる薬剤性白血球減少症の1例
本邦では, 切迫早産に対して塩酸リトドリン(以下リトドリン)は最も汎用されている子宮収縮抑制薬である. 副作用として, 頻度は不明であるが薬剤性白血球減少症があり, 中毒性機序もしくは免疫学的機序により発症する. 前者による発症はリトドリンの総投与量に依存し, 概ね5,000mg以上の投与で無顆粒球症に至るリスクが上昇する. 今回, 我々は総投与量1,132mgで発症したリトドリンによる薬剤性白血球減少症を経験した. 症例は27歳, 1妊0産. 妊娠29週6日より切迫早産のためリトドリンの内服を開始した. 妊娠33週6日より入院の上, リトドリン静脈投与を開始した. 入院時の白血球数は正常であ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2023-12, Vol.72 (1), p.1-5 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 本邦では, 切迫早産に対して塩酸リトドリン(以下リトドリン)は最も汎用されている子宮収縮抑制薬である. 副作用として, 頻度は不明であるが薬剤性白血球減少症があり, 中毒性機序もしくは免疫学的機序により発症する. 前者による発症はリトドリンの総投与量に依存し, 概ね5,000mg以上の投与で無顆粒球症に至るリスクが上昇する. 今回, 我々は総投与量1,132mgで発症したリトドリンによる薬剤性白血球減少症を経験した. 症例は27歳, 1妊0産. 妊娠29週6日より切迫早産のためリトドリンの内服を開始した. 妊娠33週6日より入院の上, リトドリン静脈投与を開始した. 入院時の白血球数は正常であったが, 妊娠34週5日に白血球数の減少を認めたためリトドリンによる薬剤性白血球減少症と診断した. リトドリンを中止して硫酸マグネシウム静脈投与等, 他剤に変更したところ, 翌日には白血球数は回復へと転じた. 妊娠40週2日に正常経腟分娩となり, 出生児の白血球数・好中球数はともに正常であった. 今回の症例においては, 薬剤リンパ球刺激試験(Drug lymphocyte stimulation test: DLST)の結果が陰性であるため, 中毒性機序による発症の可能性が高い. したがって次回妊娠時においてリトドリンの使用は可能と考えられるが, 使用する際は総投与量に注意し週1回以上の血液検査を行いながら管理するのが望ましい. |
---|---|
ISSN: | 1882-482X |