妊娠初期稽留流産の転帰~待機的管理と外科的治療

現在, わが国での妊娠12週未満の稽留流産や不全流産の治療は, 薬物療法が未承認であるため待機的管理と外科的治療(子宮内容除去術)のいずれかが選択されている. 待機的管理と外科的治療のどちらが優れた治療法であるかについては結論づけられていない. 今回, 当科で妊娠初期の稽留流産と診断した症例における待機的管理と外科的治療の転帰について検討した. 2017年1月から2020年12月に当科で妊娠12週未満の稽留流産と診断した単胎妊娠173例を対象とした. 待機的管理と外科的治療について十分な説明を行い, 患者の希望により治療方法を決定し, 治療成績を検討した. 待機的管理(待機群)は66例, 外科...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2022-06, Vol.71 (2), p.295-298
Hauptverfasser: 平岡あきね, 浅田裕美, 松井風香, 西本裕喜, 大谷恵子, 三輪一知郎, 讃井裕美, 佐世正勝, 中村康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:現在, わが国での妊娠12週未満の稽留流産や不全流産の治療は, 薬物療法が未承認であるため待機的管理と外科的治療(子宮内容除去術)のいずれかが選択されている. 待機的管理と外科的治療のどちらが優れた治療法であるかについては結論づけられていない. 今回, 当科で妊娠初期の稽留流産と診断した症例における待機的管理と外科的治療の転帰について検討した. 2017年1月から2020年12月に当科で妊娠12週未満の稽留流産と診断した単胎妊娠173例を対象とした. 待機的管理と外科的治療について十分な説明を行い, 患者の希望により治療方法を決定し, 治療成績を検討した. 待機的管理(待機群)は66例, 外科的治療(手術群)は107例であった. 流産と診断した妊娠週数の中央値は, 待機群で6(5~9)週, 手術群で6(5~11)週で, 待機群で有意に診断週数が早かった(p < 0.05). 待機群では, 52例(78.8%)が完全流産となり, 1例は不全流産のため予定手術を施行し, 13例(19.7%)は患者希望で予定手術に変更した. 手術群では, 手術予定日までに30例(28.0%)が完全流産となった. 結果的に完全流産となった82例について検討すると, 流産の診断から完全流産に至るまでの期間は中央値7(1~68)日で, 63例(76.8%)が14日以内に, 79例(96.3%)が21日以内に完全流産となった. 合併症は, 待機群で輸血を要した大量出血1例, 手術群で子宮内容遺残2例と子宮穿孔1例を認めた. 待機的管理も外科的治療もそれぞれ合併症を認めており, 治療前の十分なインフォームド・コンセントが必要である. 待機的管理では3週間以内に9割以上が完全流産に至っており, 待機期間の参考になると思われた.
ISSN:1882-482X