急速に進行した黄色ブドウ球菌感染による子宮内胎児死亡の1例

黄色ブドウ球菌による絨毛膜羊膜炎の発症は稀である. 妊娠39週で黄色ブドウ球菌により絨毛膜羊膜炎を発症し, 子宮内胎児死亡に至ったと考えられる1例を経験したので報告する. 症例は41歳女性, 2妊1産, 重複子宮. 体外受精にて妊娠成立. 帰省分娩目的に妊娠32週で当院紹介受診した. 妊娠経過は順調であった. 妊娠39週0日に陣痛発来と悪寒で入院した. 母体は39.1℃の発熱と水様便を認め, 胎児心拍数基線は200回/分と頻脈を認めた. 母体の症状緩和目的に, 輸液と解熱鎮痛剤の投与を行い, 母体は37.9℃まで解熱し, 胎児心拍数基線も110回/分となった. しかし, その1時間後に胎児心拍...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2022-12, Vol.71 (1), p.111-115
Hauptverfasser: 小西晴久, 平井雄一郎, 益野麻由, 平野章世, 藤本英夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:黄色ブドウ球菌による絨毛膜羊膜炎の発症は稀である. 妊娠39週で黄色ブドウ球菌により絨毛膜羊膜炎を発症し, 子宮内胎児死亡に至ったと考えられる1例を経験したので報告する. 症例は41歳女性, 2妊1産, 重複子宮. 体外受精にて妊娠成立. 帰省分娩目的に妊娠32週で当院紹介受診した. 妊娠経過は順調であった. 妊娠39週0日に陣痛発来と悪寒で入院した. 母体は39.1℃の発熱と水様便を認め, 胎児心拍数基線は200回/分と頻脈を認めた. 母体の症状緩和目的に, 輸液と解熱鎮痛剤の投与を行い, 母体は37.9℃まで解熱し, 胎児心拍数基線も110回/分となった. しかし, その1時間後に胎児心拍数基線細変動が増加後に60回/分程度の胎児徐脈が出現し, 緊急帝王切開の準備中に胎児心拍が消失し, 子宮内胎児死亡と診断した. 経腟での児娩出を試みたが, 分娩進行がないため帝王切開にて児を娩出した. 羊水混濁は著明で, 胎盤は脆く, 子宮側壁と強固な癒着を認めた. 胎盤剥離後の弛緩出血により, 産科危機的出血となった. 術後の胎盤病理検査は絨毛膜羊膜炎第3度, 細菌培養検査では胎盤, 子宮内, 児の鼻腔及び肛門内から黄色ブドウ球菌が検出された. 黄色ブドウ球菌による絨毛膜羊膜炎は, 稀であるが本症例のように急速に子宮内胎児死亡に至る可能性があり注意が必要である.
ISSN:1882-482X