卵巣腫瘍茎捻転に対する腹腔鏡下手術後に成熟嚢胞性奇形腫に合併した卵巣原発カルチノイドと診断された1例
卵巣原発カルチノイドは, 全カルチノイドの約1.3%, 卵巣腫瘍全体の0.1%以下と言われる非常に稀な疾患である. 今回我々は, 卵巣腫瘍茎捻転に対して腹腔鏡下付属器摘出術を行い, 成熟嚢胞性奇形腫に合併した卵巣原発カルチノイドと診断された1例を経験したので報告する. 症例は51歳, 0妊0産. 下腹部痛を主訴に救急搬送となり, 超音波検査およびCT検査で12cm大の石灰化を伴った骨盤内嚢胞性腫瘤を認めた. 腫瘍マーカーは, CA125 19.0U/mlで上昇は認めなかったが, SCC 2.7ng/ml, CA19-9 91.6U/ml, CEA 21.7ng/mlはいずれも軽度上昇していた....
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2022-12, Vol.71 (1), p.77-81 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 卵巣原発カルチノイドは, 全カルチノイドの約1.3%, 卵巣腫瘍全体の0.1%以下と言われる非常に稀な疾患である. 今回我々は, 卵巣腫瘍茎捻転に対して腹腔鏡下付属器摘出術を行い, 成熟嚢胞性奇形腫に合併した卵巣原発カルチノイドと診断された1例を経験したので報告する. 症例は51歳, 0妊0産. 下腹部痛を主訴に救急搬送となり, 超音波検査およびCT検査で12cm大の石灰化を伴った骨盤内嚢胞性腫瘤を認めた. 腫瘍マーカーは, CA125 19.0U/mlで上昇は認めなかったが, SCC 2.7ng/ml, CA19-9 91.6U/ml, CEA 21.7ng/mlはいずれも軽度上昇していた. 臨床症状と画像所見より右卵巣腫瘍茎捻転を疑い緊急腹腔鏡下手術を施行したところ, 手拳大に腫大した右卵巣腫瘍の茎捻転を認めた. 腹腔鏡下右付属器摘出術を行ったが, 腫瘍が脆弱であり手術操作による被膜破綻を認めた. 術後の病理組織検査にて成熟嚢胞性奇形腫に合併した索状カルチノイドと診断された. 卵巣境界悪性腫瘍IC1期と診断し, 術後71日目に子宮全摘術, 左付属器摘出術および大網切除術を施行した. 病理組織検査ではカルチノイド成分の残存は認めず, 腹水細胞診にも異常は認めなかった. 非常に稀な卵巣原発カルチノイドの1例を経験した. I期の予後は良好とされているが, 再発や死亡例の報告もあるので, 慎重な管理が必要である. |
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ISSN: | 1882-482X |