低用量エストロゲン・プロゲスチン, ジエノゲストが使用できない月経困難症に対し, ミニピルが著効した一例

子宮内膜症の頻度は生殖年齢女性の7-10%とされ, 日常診療でよく遭遇する疾患であるが, 年齢や挙児希望の有無等, 患者背景はさまざまである. 治療は患者背景により異なり, 最適なものを選択しなければならない. 今回我々は強い月経困難症を有する患者で, 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(low does estrogen progestin; LEP), ジエノゲストが使用できず, ミニピルのノアルテン錠(R)が著効した症例を経験したので, 考察を踏まえて報告する. 患者は21歳, 0妊0産, 不正性器出血とそれに伴う強い下腹部痛にて当院を受診された. 月経不順に対して近医にてLEP(ル...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2022-12, Vol.71 (1), p.63-66
Hauptverfasser: 岡本和浩, 入江恭平, 谷川真奈美, 中務日出輝, 片山隆章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:子宮内膜症の頻度は生殖年齢女性の7-10%とされ, 日常診療でよく遭遇する疾患であるが, 年齢や挙児希望の有無等, 患者背景はさまざまである. 治療は患者背景により異なり, 最適なものを選択しなければならない. 今回我々は強い月経困難症を有する患者で, 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合錠(low does estrogen progestin; LEP), ジエノゲストが使用できず, ミニピルのノアルテン錠(R)が著効した症例を経験したので, 考察を踏まえて報告する. 患者は21歳, 0妊0産, 不正性器出血とそれに伴う強い下腹部痛にて当院を受診された. 月経不順に対して近医にてLEP(ルナベル配合錠ULD(R))の周期投与法による治療中であった. 当院初診後も比較的頻繁に不正性器出血, 下腹部痛を主訴に, 救急外来を含めて複数回受診され, 鎮痛剤の静脈投与, 経肛門投与等で対応していた. 内診ではダグラス窩に硬結を触知し, 強い圧痛, 子宮の可動痛を認め, 臨床子宮内膜症と診断した. LEPによる疼痛コントロールは困難と判断し, 黄体ホルモン療法, ジエノゲストの内服に変更した. 黄体ホルモン療法開始後は, 疼痛は改善されたものの, 乳汁分泌が出現し, 血中プロラクチン(PRL)167ng/mLと著明な高値を認めた. ジエノゲスト中止後に再検し, 9ng/mLと正常化しており, 乳汁分泌はジエノゲストによる薬剤性のものと判断した. LEP(ヤーズフレックス配合錠(R))の連続投与法にて治療を開始するも, 内服開始2日目に閃輝暗点を伴う片頭痛が出現したため, 内服は中止とした. LEPは禁忌となり, ジエノゲストも高PRL血症の副作用のため使用できず, ミニピル(ノルエチステロン, ノアルテン錠(R))による治療を開始した. ミニピル内服開始後は月経困難症の症状も消失し, 日常生活への支障もなくなり, 現在もミニピルによる治療を継続中である.
ISSN:1882-482X