子宮頸癌の妊孕性温存術後で2生児の獲得に至った不妊症の1症例
症例は, 27歳時に子宮頸部腺癌に対する妊孕性温存手術(準広汎子宮頸部摘出術+子宮頸管縫縮術および骨盤内リンパ節郭清術)を受け, その後の転居により, 異なる3県で術後の再発フォローと不妊症治療を受けていた自然妊娠・流産の既往を有する33歳の女性. 術後5年を経過した今回, 転居に伴い挙児希望にて当院を紹介受診となった. スクリーニング検査の後に一般不妊治療を開始したが妊娠に至らず, 生殖補助医療へとステップアップした. 初回の体外受精で胚盤胞4個を凍結し, 2回目の単一胚移植で妊娠に至った. 妊娠初期より子宮体下部の頸管長は短縮しており, 流早産予防の目的で妊娠21週より入院安静・薬物療法に...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2021-12, Vol.70 (1), p.197-201 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は, 27歳時に子宮頸部腺癌に対する妊孕性温存手術(準広汎子宮頸部摘出術+子宮頸管縫縮術および骨盤内リンパ節郭清術)を受け, その後の転居により, 異なる3県で術後の再発フォローと不妊症治療を受けていた自然妊娠・流産の既往を有する33歳の女性. 術後5年を経過した今回, 転居に伴い挙児希望にて当院を紹介受診となった. スクリーニング検査の後に一般不妊治療を開始したが妊娠に至らず, 生殖補助医療へとステップアップした. 初回の体外受精で胚盤胞4個を凍結し, 2回目の単一胚移植で妊娠に至った. 妊娠初期より子宮体下部の頸管長は短縮しており, 流早産予防の目的で妊娠21週より入院安静・薬物療法による管理となった. 妊娠37週2日で予定帝王切開術となり, 母児共に異常なく退院した. その後さらに他県へ転居となり, 第一子誕生から4年後に, 当院で保存していた胚による第二子希望を主訴に転居先の医師より紹介となった. 患者および紹介医師と相談の結果, 転居先でのホルモン補充周期作成治療と当院での凍結胚融解・移植術を行うことになり, 当院へは胚移植前日に受診となった. 受診日に診察と患者へ再度の説明を行い, 翌日胚移植の後に紹介状と共に紹介元病院へ経過観察を依頼した. この治療周期で妊娠に至り, 紹介元病院での周産期管理を経て, 妊娠32週4日に緊急帝王切開で第二子を得た. 子宮頸癌の妊孕性温存手術症例では, 婦人科腫瘍医・生殖治療医・周産期治療医のリレーが生児獲得に必要となるケースが多い. さらに, それぞれの専門的医療を異なる県や施設で受ける可能性も予想される. 患者へのこうした専門的医療の必要性や医療施設の情報提供が, 将来の生児獲得に重要な影響を及ぼすと思われた. |
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ISSN: | 1882-482X |