重症皮膚筋炎に対するシクロフォスファミドを用いた化学療法中にGnRHアゴニストにより卵巣保護を行った1例
若年女性のがんや自己免疫疾患患者において, 化学療法により性腺機能不全に陥る可能性が問題となる. 今回, 重症の皮膚筋炎に対する化学療法に並行して, 卵巣の内分泌機能保護目的にGonadotropin-Releasing Hormone(GnRH)アゴニスト療法を行った1例を経験したので文献的な考察を加えて報告する. 症例は35歳, 0妊. 主訴は手掌紅斑, 上下肢関節腫脹, 筋力低下, 発熱. 近医内科や皮膚科, 整形外科を受診, 初発症状出現から約40日後に皮膚筋炎と診断された. SpO2 90-92%と拘束性換気障害を伴う間質性肺炎や嗄声, 心筋炎なども認めた. 重症の間質性肺炎合併皮膚...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2021-12, Vol.70 (1), p.165-169 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 若年女性のがんや自己免疫疾患患者において, 化学療法により性腺機能不全に陥る可能性が問題となる. 今回, 重症の皮膚筋炎に対する化学療法に並行して, 卵巣の内分泌機能保護目的にGonadotropin-Releasing Hormone(GnRH)アゴニスト療法を行った1例を経験したので文献的な考察を加えて報告する. 症例は35歳, 0妊. 主訴は手掌紅斑, 上下肢関節腫脹, 筋力低下, 発熱. 近医内科や皮膚科, 整形外科を受診, 初発症状出現から約40日後に皮膚筋炎と診断された. SpO2 90-92%と拘束性換気障害を伴う間質性肺炎や嗄声, 心筋炎なども認めた. 重症の間質性肺炎合併皮膚筋炎に対して, 副腎皮質ステロイドに加え, 免疫抑制剤として, タクロリムスおよびシクロフォスファミドによる治療が早急に開始された. 産婦人科より原疾患治療と並行し, 卵巣の内分泌機能保護目的にGnRHアゴニスト療法を行った. シクロフォスファミドは合計7ヶ月, 8400mg/bodyで終了となり現在, 副腎皮質ステロイド, タクロリムスによる維持療法中である. GnRHアゴニストはシクロフォスファミド投与期間に合計7回投与した. 特記すべき有害事象は認めなかった. GnRHアゴニスト最終投与後12週の受診時に14mmの卵胞と血中エストラジオール値は193.8pg/mLとなり, 15週後に月経再開, 月経再開から2回目の月経以降は基礎体温は2相性に回復した. 自己免疫疾患はがん患者に比べて症例数も少なく, 化学療法中の卵巣保護作用に対するGnRHアゴニスト療法は, がん患者の症例にもまして未だ一定の見解は得られていない. 今後さらなる症例の蓄積によるエビデンス構築が求められる. |
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ISSN: | 1882-482X |