良性腫瘍を念頭に腹腔鏡下手術を実施した後, 低分化型と確定診断されたセルトリ・ライディッヒ細胞腫の一例
今回, 良性腫瘍を念頭に腹腔鏡下手術を実施した後, 低分化型と確定診断されたセルトリ・ライディッヒ細胞腫の一例を経験した. 22歳, 未経妊. 20歳頃より無月経, 多毛を自覚していた. 超音波検査及び造影MRI検査で右卵巣に4cm大の充実性腫瘍を認め, 血中テストステロン値が5.07ng/mLと高値であったことなどからセルトリ・ライディッヒ細胞腫が疑われた. 高分化型が疑われるが正確な判断は困難であることを説明し, 右付属器切除術を行い, 迅速病理検査で悪性が疑われた場合でも根治術は最終病理組織結果を待ち再検討する方針とした. また, 安全な実施が可能な範囲で腹腔鏡下手術とする方針となった....
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2021-12, Vol.70 (1), p.149-153 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回, 良性腫瘍を念頭に腹腔鏡下手術を実施した後, 低分化型と確定診断されたセルトリ・ライディッヒ細胞腫の一例を経験した. 22歳, 未経妊. 20歳頃より無月経, 多毛を自覚していた. 超音波検査及び造影MRI検査で右卵巣に4cm大の充実性腫瘍を認め, 血中テストステロン値が5.07ng/mLと高値であったことなどからセルトリ・ライディッヒ細胞腫が疑われた. 高分化型が疑われるが正確な判断は困難であることを説明し, 右付属器切除術を行い, 迅速病理検査で悪性が疑われた場合でも根治術は最終病理組織結果を待ち再検討する方針とした. また, 安全な実施が可能な範囲で腹腔鏡下手術とする方針となった. 腹腔鏡下に右付属器切除を行い, 体外への回収に際しては安全に配慮してバッグ内に収納し, 下腹部に小切開を追加することで腫瘍の破綻なく回収することができた. 術後の病理組織検査の結果, 低分化型セルトリ・ライディッヒ細胞腫のIA期と診断した. 術後, 血中テストステロン値は低下し, 多毛の改善が自覚された. 追加治療は行わず慎重に経過観察中であるが, 術後約5年で再発を認めていない. セルトリ・ライディッヒ細胞腫の予後は分化の程度により大きく異なり, 高・中・低分化型がそれぞれ良性, 境界悪性, 悪性に相当するとされている. 本症例では腹腔鏡下手術を実施後に低分化型と確定診断されたが, 境界悪性もしくは悪性の性索間質性腫瘍に対しては開腹手術が基本とされているため, セルトリ・ライディッヒ細胞腫が疑われる充実性腫瘍に対して腹腔鏡下手術を計画する際には術後に悪性度の判定が変わりうることをあらかじめ十分に説明を行い, 腫瘍の破綻を避けるための具体的な方策の下に手術を実施する必要がある. |
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ISSN: | 1882-482X |