腹腔鏡下性腺摘出術を行ったSwyer症候群の一例
概要: Swyer症候群は染色体が46,XYにもかかわらず内・外性器は女性型を示す性分化疾患(Disorders of sex development: DSD)に分類される疾患であり, その頻度は出生1/20000 - 80000と極めてまれである. 無月経を主訴に来院し, Swyer症候群と診断し治療に至った症例を経験したので報告する. 症例は18歳, 0妊0産. 16歳時にも無月経を主訴に一度前医への来院歴があるが, その後の外来受診なく経過していた. 2年経過後の18歳時にも依然無月経の状態であった. 身体所見上の外性器は女性型であり, 腟ならびに子宮頸部も確認できた. MRI検査上で...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2020-06, Vol.69 (2), p.359-364 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 概要: Swyer症候群は染色体が46,XYにもかかわらず内・外性器は女性型を示す性分化疾患(Disorders of sex development: DSD)に分類される疾患であり, その頻度は出生1/20000 - 80000と極めてまれである. 無月経を主訴に来院し, Swyer症候群と診断し治療に至った症例を経験したので報告する. 症例は18歳, 0妊0産. 16歳時にも無月経を主訴に一度前医への来院歴があるが, その後の外来受診なく経過していた. 2年経過後の18歳時にも依然無月経の状態であった. 身体所見上の外性器は女性型であり, 腟ならびに子宮頸部も確認できた. MRI検査上では著しく小型な子宮と両側の卵巣と思われる構造が認められた. 染色体検査が施行され46,XYであることから, 性分化疾患が疑われたために当院へ紹介となった. 採血でのホルモン値はエストラジオール5pg/ml未満, LH 51IU/ml, FSH 150IU/ml, テストステロン0.32ng/ml, PRL 6.93ng/mlと, エストラジオール低値, LHとFSHの高値を認めた. 再度MRIを含めた画像検査を行い, 小型の子宮と痕跡状性腺を認めたことからSwyer症候群の診断となった. 本疾患の性腺は悪性新生物発生のリスクが15 - 35%と高率にあるため, 腹腔鏡下での予防的性腺摘出術を行う方針とした. 術中所見では小型の子宮で両側の性腺は索状(streak gonad)であった. 術後はエストロゲン/プロゲスチンの周期的投与を行い消退出血, 二次性徴の発育を認めている. 本疾患は悪性新生物を高率に認めることに加え, 二次性徴などの観点から早期の治療が必要である. また, 類似の症状を呈する他の性分化疾患(DSD)との鑑別は重要であり, 画像所見や採血所見と同様に正確な身体診察の評価が重要である. |
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ISSN: | 1882-482X |