生殖補助医療反復不成功患者に対する子宮内細菌叢検査の有効性
【目的】子宮内は無菌状態ではなく, 細菌叢を形成しており, その異常と慢性子宮内膜炎及び胚着床障害等の関連性が指摘されている. 着床障害が疑われる症例における子宮内細菌叢の状態, 不妊治療成績等について検討を行った. 【方法】当院で生殖補助医療(ART)を行い, 良好胚を2回以上移植しても妊娠継続に至らなかったART反復不成功症例で, 同意の得られた29例を対象とした. 子宮内膜分泌物を吸引採取し, 次世代シークエンサーで細菌の16S rRNA網羅的解析を行い, 子宮内細菌菌種組成を検討した. Lactobacillus (+ Bifidobacterium)90%以上をラクトバチルス優位細菌...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2019-06, Vol.68 (2), p.127-131 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】子宮内は無菌状態ではなく, 細菌叢を形成しており, その異常と慢性子宮内膜炎及び胚着床障害等の関連性が指摘されている. 着床障害が疑われる症例における子宮内細菌叢の状態, 不妊治療成績等について検討を行った. 【方法】当院で生殖補助医療(ART)を行い, 良好胚を2回以上移植しても妊娠継続に至らなかったART反復不成功症例で, 同意の得られた29例を対象とした. 子宮内膜分泌物を吸引採取し, 次世代シークエンサーで細菌の16S rRNA網羅的解析を行い, 子宮内細菌菌種組成を検討した. Lactobacillus (+ Bifidobacterium)90%以上をラクトバチルス優位細菌叢(LDM: Lactobacillus dominant Microphobia), 90%以下をnon-LDM(NLDM)と定義した. NLDMと診断された症例に対し, 抗菌薬(メトロニダゾール + ミノサイクリン)内服, ラクトフェリン内服で加療を行った. 検査後, 最低1回良好胚盤胞移植を行った26症例について, 細菌叢改善効果や不妊治療予後に関する検討を行った. 【成績】初回検査ではLDM: 11症例(39%), NLDM: 17症例(61%)であった. NLDM症例では Gardnerella, Prevotella, Streptococcus などが多く検出されていた. NLDMと診断された症例に対し, 抗菌薬等で加療を行ったところ最終的に80%でLDMとなった. 20%はNLDMが持続したが, Lactobacillus の割合はいずれも改善を認めた. 初回検査のLDM症例は8例(67%)で妊娠成立(1例流産)した. NLDM→LDM症例は7例(58%)で妊娠成立(2例流産)した. 【結論】ART反復不成功患者においては高い割合でNLDMが認められた. 子宮内細菌叢の改善は着床率改善に寄与する可能性が示された. |
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ISSN: | 1882-482X |