集学的治療を施行するも急速な全身転移を来した子宮頸部胃型粘液性がんの一例
子宮頸部胃型粘液性癌(GAS)はその発生にHPVは関与せず, 通常型の頸部腺癌より予後不良であることが知られている. 今回我々は局所進行GASに対し集学的治療を施行するも急速な全身転移を来した症例を経験した. 【症例および治療経過】54歳 0経妊 既往歴なし 不正出血にて受診. 内診・USGにて子宮頸部に45mm大の腫瘤を認め, 擦過細胞診でclass V, 生検にて腺癌の診断. MRI, CE-CT検査では明らかな遠隔転移や傍組織浸潤, 腟壁浸潤, リンパ節転移は認めなかった. 子宮頸部腺癌 IB2期と診断しパクリタキセル+カルボプラチン(TC)によるNACを2コース施行. NAC後のMRI...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2019-12, Vol.68 (1), p.25-31 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 子宮頸部胃型粘液性癌(GAS)はその発生にHPVは関与せず, 通常型の頸部腺癌より予後不良であることが知られている. 今回我々は局所進行GASに対し集学的治療を施行するも急速な全身転移を来した症例を経験した. 【症例および治療経過】54歳 0経妊 既往歴なし 不正出血にて受診. 内診・USGにて子宮頸部に45mm大の腫瘤を認め, 擦過細胞診でclass V, 生検にて腺癌の診断. MRI, CE-CT検査では明らかな遠隔転移や傍組織浸潤, 腟壁浸潤, リンパ節転移は認めなかった. 子宮頸部腺癌 IB2期と診断しパクリタキセル+カルボプラチン(TC)によるNACを2コース施行. NAC後のMRIで腫瘍の縮小率は35%で奏功率はPRであった. 広汎子宮全摘+両側付切後の病理組織で頸部腺癌の診断を得たが頸部以外への浸潤は認めなかった. 骨盤リンパ節転移は5箇所(#2, 3, 5, 6, 8)に認めた(pTIbN1M0). 免疫染色ではPAS陽性, HIK1083陽性, p53強陽性でありGASと診断した. 再発高リスクのため術後CCRT(whole pelvis 50.4Gy/28frac, CDDP 40mg/m2×3)施行. CCRT終了後のPET/CTでは明らかなFDGの集積および残存腫瘤は認めなかった. 退院2週間後に腹痛, 嘔吐が出現し再来. 諸検査にてイレウスと診断し, 保存的に加療し軽快. 1か月後に施行した造影CT検査にて腹膜播種, 肝転移, 脾転移が判明した. 全身状態不良のためbest supportive careを施行するも病勢は進行し, 初回治療より6か月で多臓器不全のため死亡した. 【考察】GASはその発生にHPVは関与せず発生原因は不明である. 今回, 化学療法, 手術, 放射線治療と集学的治療を行なったが進行を抑えることができなかった. 今後GASに対しては分子標的薬を含め, 新たな治療戦略が必要と思われた. |
---|---|
ISSN: | 1882-482X |