産後の過多出血に対する止血手技の検討
妊産婦の死因の第1位は出血であり, その要因のほとんどは産後の過多出血である. 今回我々は, 当院における産後の過多出血について検討した. 2012年1月から2017年12月までの間に当院で分娩管理を行った妊婦4,187例(単胎4,097例, 多胎90例)より産後の過多出血症例を抽出し, 患者背景および止血手技について後方視的に検討した. 妊婦4,187例のうち, 産後の過多出血症例は1,125例(単胎経腟868例, 単胎帝切203例, 多胎経腟11例, 多胎帝切43例)で, その頻度は26.9%であった. 原因疾患の内訳は, 弛緩出血1,067例, 前置胎盤19例, 常位胎盤早期剥離16例,...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2018-06, Vol.67 (2), p.269-273 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 妊産婦の死因の第1位は出血であり, その要因のほとんどは産後の過多出血である. 今回我々は, 当院における産後の過多出血について検討した. 2012年1月から2017年12月までの間に当院で分娩管理を行った妊婦4,187例(単胎4,097例, 多胎90例)より産後の過多出血症例を抽出し, 患者背景および止血手技について後方視的に検討した. 妊婦4,187例のうち, 産後の過多出血症例は1,125例(単胎経腟868例, 単胎帝切203例, 多胎経腟11例, 多胎帝切43例)で, その頻度は26.9%であった. 原因疾患の内訳は, 弛緩出血1,067例, 前置胎盤19例, 常位胎盤早期剥離16例, 産道裂傷8例, 癒着胎盤8例, 低置胎盤7例であった. 1,125例のうち1,084例は通常の初期治療で止血可能であった. 通常の初期治療で止血不能であった41例のうち37例に対してバルーンタンポナーデ法(BT法)が行われ, 34例は止血可能であった. BT法で止血不能であった3例に対して経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)が2例に, 縫合止血法が1例に行われた. 通常の初期治療で止血不能であった残りの4例に対して, TAEが2例に, 縫合止血法が2例に行われた. 子宮動脈結紮術および子宮摘出術を行った症例はなく, 母体死亡も認めなかった. 産後の過多出血症例の96.4%は通常の初期治療で止血可能であった. 低侵襲手技であるBT法を加えると99.4%の症例が止血可能であった. 初期治療およびBT法を習熟することの大切さを再認識することができた. |
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ISSN: | 1882-482X |