帝王切開後に発症した頭蓋内慢性硬膜下血腫の1例

脊髄くも膜下麻酔の稀な合併症として硬膜下血腫がある. 今回, 脊髄くも膜下麻酔後に硬膜穿刺後頭痛を発症し, 軽快退院後に頭蓋内慢性硬膜下血腫と診断された症例を経験したので報告する. 症例は, 28歳女性. 1絨毛膜2羊膜双胎妊娠で, 第2子骨盤位のため妊娠37週3日に選択帝王切開術となった. 麻酔科医師により脊髄くも膜下麻酔を3度試みられたが, すべての施行で髄液の逆流を認めたものの十分な麻酔域が確保できず, 全身麻酔にて帝王切開術を実施した. 帰室後, 弛緩出血に対し, オキシトシン投与, Bakriバルーン(R)を挿入した. 産科DIC scoreは3点であった. 術後2日目, 頭部挙上時...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2018-06, Vol.67 (2), p.249-252
Hauptverfasser: 笹森博貴, 真鍋敦, 石原とも子, 池野屋美智子, 澤田康治, 藤脇律人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脊髄くも膜下麻酔の稀な合併症として硬膜下血腫がある. 今回, 脊髄くも膜下麻酔後に硬膜穿刺後頭痛を発症し, 軽快退院後に頭蓋内慢性硬膜下血腫と診断された症例を経験したので報告する. 症例は, 28歳女性. 1絨毛膜2羊膜双胎妊娠で, 第2子骨盤位のため妊娠37週3日に選択帝王切開術となった. 麻酔科医師により脊髄くも膜下麻酔を3度試みられたが, すべての施行で髄液の逆流を認めたものの十分な麻酔域が確保できず, 全身麻酔にて帝王切開術を実施した. 帰室後, 弛緩出血に対し, オキシトシン投与, Bakriバルーン(R)を挿入した. 産科DIC scoreは3点であった. 術後2日目, 頭部挙上時に頭痛が出現した. 神経学的異常所見は認めず, 硬膜穿刺後頭痛と診断し, 補液にて経過観察とした. 術後7日目には頭痛は著明に改善し退院となった. 術後18日目から1週間頭痛が持続するため受診. 頭部CTにてmidline shiftを伴う慢性硬膜下血腫を認め, 穿頭洗浄術が施行された. 脳脊髄液の漏出の持続による圧変化が, 起立性頭痛, 硬膜下血腫の原因となる. 本症例では頻回穿刺により, 硬膜外腔への脳脊髄液漏出が起き, 頭痛の改善後も微量の脳脊髄液の漏出が持続し, 硬膜下血腫が生じたと考えられた. 脊髄くも膜下麻酔後の慢性硬膜下血腫は稀ではあるが重篤な合併症として念頭に置くべきと考えられる.
ISSN:1882-482X