臍帯嚢胞から尿膜管開存を出生前診断し得た一例
妊娠初期に指摘された臍帯嚢胞から尿膜管開存を出生前診断し得た1例を経験したので報告する. 症例は25歳, G1P0. 前医にて妊娠12週及び15週の妊婦健診時に臍帯に付着する臍帯嚢胞と胎児腹部嚢胞を指摘され, 精査目的に妊娠16週4日に当科を紹介受診された. 超音波断層検査では, 臍帯基部と胎児腹腔内正中に嚢胞を認め, 血管の走行から腹腔内嚢胞は膀胱と診断した. 妊娠17週4日に臍帯嚢胞と膀胱との間に交通を認め, 尿膜管遺残と診断した. 妊娠26週4日の超音波断層検査で臍帯嚢胞の破裂が疑われ, 同日より入院管理を開始した. 嚢胞の消失とともに膀胱は縮小した. 一方で羊水量には変化なく尿膜管開存...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2018-06, Vol.67 (2), p.239-242 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 妊娠初期に指摘された臍帯嚢胞から尿膜管開存を出生前診断し得た1例を経験したので報告する. 症例は25歳, G1P0. 前医にて妊娠12週及び15週の妊婦健診時に臍帯に付着する臍帯嚢胞と胎児腹部嚢胞を指摘され, 精査目的に妊娠16週4日に当科を紹介受診された. 超音波断層検査では, 臍帯基部と胎児腹腔内正中に嚢胞を認め, 血管の走行から腹腔内嚢胞は膀胱と診断した. 妊娠17週4日に臍帯嚢胞と膀胱との間に交通を認め, 尿膜管遺残と診断した. 妊娠26週4日の超音波断層検査で臍帯嚢胞の破裂が疑われ, 同日より入院管理を開始した. 嚢胞の消失とともに膀胱は縮小した. 一方で羊水量には変化なく尿膜管開存と考えられた. 胎児well-beingには異常を認めず, 妊娠27週6日に一旦退院とした. 妊娠30週4日に胎児MRIを撮影したが超音波断層検査と同様の診断であった. 妊娠31週4日のNSTにて頻回な子宮収縮と, 収縮に伴い軽度一過性徐脈を認めたため, 入院し子宮収縮抑制を開始した. 胎児所見に変化なく羊水量も正常であった. 妊娠36週2日に選択的帝王切開術を施行し, 体重2161g, 身長43cm, Apgar score 1分後8点, 5分後9点の男児を娩出した. 出生後,児は尿量増加に伴い臍部からの尿流出を認め, 日齢1の尿路造影検査で尿膜管瘻と確定診断されたため, 日齢5に尿膜管瘻摘出術を施行した. 日齢8の膀胱造影検査では造影剤の膀胱外への流出は認めず, その後の経過も順調で日齢27に退院となった. 臍帯嚢胞を認めた場合は本疾患も念頭におき, 出生前, 出生後に慎重な評価が必要である. |
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ISSN: | 1882-482X |