methotrexate治療で子宮を温存できた帝王切開瘢痕部妊娠の1例

帝王切開瘢痕部妊娠(Cesarean Scar Pregnancy; CSP)は近年の帝王切開率の上昇に伴い, 増加傾向にある. CSPは子宮破裂, 癒着胎盤, 膀胱浸潤, 大量出血, 母体死亡へと至る可能性が高く, 適切な診断および治療が重要であるが, 未だ確立された治療法はない. 我々はCSP治療にメソトレキセート(methotrexate; MTX)を用い, 子宮を温存できた症例を経験したので報告する. 症例は39歳, 4妊2産(帝王切開2回, 自然流産1回). 無月経を主訴に前医を受診し, CSPを指摘され紹介受診した. 最終月経および頭殿長からは妊娠8週1日相当であった. 胎児心拍は...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2018-06, Vol.67 (2), p.221-225
Hauptverfasser: 野村奈南, 中本康介, 相馬晶, 岡本啓, 藤本英夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:帝王切開瘢痕部妊娠(Cesarean Scar Pregnancy; CSP)は近年の帝王切開率の上昇に伴い, 増加傾向にある. CSPは子宮破裂, 癒着胎盤, 膀胱浸潤, 大量出血, 母体死亡へと至る可能性が高く, 適切な診断および治療が重要であるが, 未だ確立された治療法はない. 我々はCSP治療にメソトレキセート(methotrexate; MTX)を用い, 子宮を温存できた症例を経験したので報告する. 症例は39歳, 4妊2産(帝王切開2回, 自然流産1回). 無月経を主訴に前医を受診し, CSPを指摘され紹介受診した. 最終月経および頭殿長からは妊娠8週1日相当であった. 胎児心拍は陰性であり, 稽留流産と考えられた. 経腟超音波断層法およびMRIでCSPと診断した. 初診時血清hCGは19949.5 mIU/mlであった. 子宮温存の希望があり, 2週間ごとにMTX計4回筋注で胎嚢は徐々に縮小した. MTX開始後77日目に血清hCGは測定感度以下となり, 203日目にフォローを終了した. CSPに対するMTX療法は治療期間が長く, 途中で大出血をきたした症例の報告もあり, 慎重な対応が求められる. 妊娠9~10週以前で胎児心拍陰性の稽留流産の場合, MTX全身投与で子宮を温存できる可能性があるが, その後の妊娠および出産に関する予後の報告は少なく, 今後も症例の蓄積が必要である.
ISSN:1882-482X