当科における腹腔鏡下子宮筋腫核出術の手術成績 - 挙児希望症例の妊娠予後に関する後方視的検討

【目的】腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)は, 開腹術より整容性や低侵襲の点で優れることから広く行われているが, 筋腫核出術は専ら妊孕性温存が目的であるため, 術後の妊孕性と妊娠予後を考慮したうえでアプローチ法を選択することが肝要である. 当科では術前に判定した筋腫の位置・個数・サイズ等からアプローチ法を決定している. 今回, 当科におけるアプローチ法選択の妥当性を評価するため, 筋腫核出術を施行した挙児希望例における術後妊娠率と妊娠予後についてLMと開腹術で比較検討した. 【方法】2006年1月から2015年12月に当科で筋腫核出術を施行した243例のうち, 挙児希望があった72例(LM群 23...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2018-12, Vol.67 (1), p.73-78
Hauptverfasser: 山本槙平, 泉谷知明, 都築たまみ, 谷口佳代, 前田長正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)は, 開腹術より整容性や低侵襲の点で優れることから広く行われているが, 筋腫核出術は専ら妊孕性温存が目的であるため, 術後の妊孕性と妊娠予後を考慮したうえでアプローチ法を選択することが肝要である. 当科では術前に判定した筋腫の位置・個数・サイズ等からアプローチ法を決定している. 今回, 当科におけるアプローチ法選択の妥当性を評価するため, 筋腫核出術を施行した挙児希望例における術後妊娠率と妊娠予後についてLMと開腹術で比較検討した. 【方法】2006年1月から2015年12月に当科で筋腫核出術を施行した243例のうち, 挙児希望があった72例(LM群 23例, 開腹群 49例)を対象とし, アプローチ法別に患者背景, 術後妊娠率, 妊娠予後について後方視的に検討した. 【結果】手術時の平均年齢(LM群 34.3±3.8歳, 開腹群 34.0±4.7歳), 筋腫の位置および摘出した最大の筋腫サイズについてはいずれも有意差はなかったが, 筋腫数はLM群 1.65±1.5個, 開腹群 3.24±3.7個と開腹術で有意に多かった. 術後妊娠率は, 両群間で有意差は認めなかった(LM群:78.3%, 開腹群:55.1%). 術後妊娠例の分娩法は, 経腟分娩:LM群 3例, 開腹群 2例, 選択的帝王切開:LM群 10例, 開腹群 13例と両群間に有意差はなかった. 妊娠予後として, 流産率・早産率は有意差を認めなかった. ただし, 核出術が影響したと考えられる妊娠合併症として, 開腹術で子宮破裂1例を認めた. 【考察】今回の検討では, 術後妊娠率・妊娠予後について両群間に有意差を認めなかったことから, 術前にアプローチ法を十分に検討することによりLMにおいて開腹手術と同等の妊孕性・安全性を担保することが可能と考える. ただし, 重篤な妊娠合併症回避に関してはアプローチ法に関わらずさらなる検討を要する.
ISSN:1882-482X