経過観察が可能であった胎盤ポリープ症例の検討

胎盤ポリープは大量出血を引き起こす可能性のある疾患であり, 子宮動脈塞栓術や子宮鏡下手術等による積極的な治療の報告は散見されるが, 自然経過に関する報告は少ない. 今回我々は積極的な治療を必要とせず, 経過観察が可能であった胎盤ポリープ症例について検討した. 2015年1月から2017年8月の間に当院で管理した胎盤ポリープ8症例のうち, 子宮動脈塞栓術および子宮鏡下手術を施行した1例を除き, 経過観察を行った7症例を対象とし, 臨床経過を後方視的に検討した. 値は中央値で記載した. 初産婦3例, 経産婦4例で, 中期中絶後3例, 正期産経腟分娩後4例であった. 分娩時に胎盤遺残と診断された症例...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2017-06, Vol.66 (2), p.335-338
Hauptverfasser: 藤村大志, 三輪照未, 三輪一知郎, 中島博予, 大谷恵子, 讃井裕美, 佐世正勝, 中村康彦, 上田一之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胎盤ポリープは大量出血を引き起こす可能性のある疾患であり, 子宮動脈塞栓術や子宮鏡下手術等による積極的な治療の報告は散見されるが, 自然経過に関する報告は少ない. 今回我々は積極的な治療を必要とせず, 経過観察が可能であった胎盤ポリープ症例について検討した. 2015年1月から2017年8月の間に当院で管理した胎盤ポリープ8症例のうち, 子宮動脈塞栓術および子宮鏡下手術を施行した1例を除き, 経過観察を行った7症例を対象とし, 臨床経過を後方視的に検討した. 値は中央値で記載した. 初産婦3例, 経産婦4例で, 中期中絶後3例, 正期産経腟分娩後4例であった. 分娩時に胎盤遺残と診断された症例が5例, 弛緩出血と診断された症例が1例, 明らかな異常を認めなかった症例が1例であった. 胎盤ポリープ最大径は2.3 cm (1.2-5.3 cm) , 産褥出血が止血した時期は産後139日 (87-186日) , 血中HCG陰性を確認した時期は58日 (49-89日) , 月経再開時期は130日 (65-382日) であった. 胎盤ポリープが自然消失したのは3例で, 消失した時期は163日 (112-375日) であった. 胎盤ポリープ経過観察中に3症例4妊娠を認めた. 胎盤ポリープ消失後に1症例1妊娠を認め, 自然経腟分娩となった. 胎盤ポリープ存続中に2症例3妊娠を認め, いずれも自然流産となった. 胎盤ポリープ症例のうち, 積極的な治療を必要とせず, 経過観察可能な症例は少なくないことが示唆された. 大量出血に留意しつつ, 経過観察をすることも選択肢のひとつであると考えられた.
ISSN:1882-482X