右卵巣腫瘍の腹腔鏡下手術後に判明した左卵巣の漿液性境界悪性腫瘍の一例
婦人科良性疾患に対して腹腔鏡手術は第一選択となることが多いが, 術後の病理結果で境界悪性や悪性腫瘍と診断される症例を経験することがある. 右卵巣腫瘍の腹腔鏡下手術後に判明した左卵巣の漿液性境界悪性腫瘍の一例を報告する. 症例は, 54歳閉経後, 2妊2産. 4ヶ月前より右下腹部痛を認め, 前医での腹部超音波検査にて10cm大の右卵巣腫瘍を指摘され当科に紹介受診した. 経腟超音波検査で右卵巣に多嚢胞性嚢胞を認め, 内部に充実部性エコーは認めなかった. 左卵巣は30mm大であった. MRI検査でも同様に悪性所見認めず, CA125, CA19-9も正常範囲内であった. 右卵巣腫瘍に対して腹腔鏡下右...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2017-06, Vol.66 (2), p.223-227 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 婦人科良性疾患に対して腹腔鏡手術は第一選択となることが多いが, 術後の病理結果で境界悪性や悪性腫瘍と診断される症例を経験することがある. 右卵巣腫瘍の腹腔鏡下手術後に判明した左卵巣の漿液性境界悪性腫瘍の一例を報告する. 症例は, 54歳閉経後, 2妊2産. 4ヶ月前より右下腹部痛を認め, 前医での腹部超音波検査にて10cm大の右卵巣腫瘍を指摘され当科に紹介受診した. 経腟超音波検査で右卵巣に多嚢胞性嚢胞を認め, 内部に充実部性エコーは認めなかった. 左卵巣は30mm大であった. MRI検査でも同様に悪性所見認めず, CA125, CA19-9も正常範囲内であった. 右卵巣腫瘍に対して腹腔鏡下右付属器切除術を行い, 閉経後であったため左付属器切除を同時に施行した. 術中に洗浄腹水細胞を診採取した. 後日, 洗浄腹水細胞が診陽性であったことが判明し, 術後の永久病理組織診断で右卵巣腫瘍は漿液性嚢胞腺腫, 左卵巣は漿液性嚢胞腺腫をベースとし一部漿液性境界悪性腫瘍を認めるとの診断であった. 追加手術として単純子宮全摘術, 大網切除術, 右総腸骨リンパ節生検施行した. 術後化学療法としてdose-dense TC (taxol, carbopratin) を3コース行った後, 現在術後2年を経過したが再発は認めていない. 漿液性境界悪性腫瘍はもともと術前に診断しにくい病変であり, その可能性も念頭にいれ十分なインフォームドコンセントが必要である. また, 対側に病変が見つかることは稀ではあるが今回のように存在するため, 腹腔鏡の利点を活かして対側卵巣に対しても詳細な観察を行うとともに, 洗浄腹水細胞診の採取を行い, 摘出組織の内容液の腹腔内漏出に注意するなど慎重な対応が必要である. |
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ISSN: | 1882-482X |